今やどのマーケターにとってもメタバースは大きな関心事だが、消費者はこの新しいビジネスモデルを冷静に見ているようだ。
ソーシャルメディア管理プラットフォーム企業スプラウト・ソーシャルの調査で、マーケターの67%は今後1年間でメタバース関連の取り組みに「少なくとも予算の4分の1を当てる」と回答。だが消費者でメタバースに「興味がある」と答えた者は24%に過ぎなかった。また、NFT(非代替性トークン)に興味を持つ消費者もわずか17%。それに対し、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)には39%が「興味がある」と答えた。
こうした結果にもかかわらず、マーケターは進境著しいテクノロジーの導入を進めていく予定で、消費者は「後からついてくる」と確信しているようだ
「消費者がソーシャルメディアに費やす時間は引き続き増えています。それに伴い、マーケターも自分のチームやスタッフ、テクノロジーへの支出を大幅に増やしている」と話すのはスプラウト・ソーシャルのコンテンツ及びコミュニケーション担当ヴァイスプレジデント、クリスティン・ジョンソン氏。「メディア戦略や消費者の嗜好がいかに速く変化するかを我々のデータははっきりと示しています。マーケターにとっての成功のカギは、スキルセットの向上に注力し、どのメディアが自社にとって有効か多角的に理解すること」
多くの消費者が興味を持っているのはショート動画だ。「TikTok(ティックトック)を利用している」と答えた者は2020年に17%だったが、今年は38%に増加。ユーチューブの人気も依然高く、「1年後もユーチューブを利用している」と答えた者は51%。逆にマーケターの間で「ユーチューブへの支出を増やす」と答えた者は、2020年の52%から今年は35%に減少した。
今年の最大の課題として半数以上(52%)のマーケターが挙げたのは、「人材の確保」だ。また、自分の価値観と合うブランドを選ぶ傾向も消費者の間で続いている。政治や社会の問題に対して「ブランドは態度を明確にすべき」と答えた消費者は71%に上り、特にこの傾向はZ世代(1990年代半ば以降に生まれた世代)やミレニアル世代(1980年から90年代半ばまでに生まれた世代)の間で強かった。また、ソーシャルメディア上での行き届いたケアを的確なタイミングで求める消費者も増えており、ネガティブな体験は即座にシェアされることもわかった。
信頼性の問題は、ブランドとパートナーシップを結ぶクリエイターにまで及ぶ。消費者はブランドに「信頼できるクリエイターを選んでほしい」と望んでいるだけでなく、81%の消費者は「週に数回以上、スポンサードコンテンツを投稿するクリエイターはフォローしない」と答えた。
この調査は全米のマーケター500人、消費者1000人を対象に行われた。
(文:ナターシャ・バッハ 翻訳・編集:水野龍哉)