Ryoko Tasaki
2024年6月14日

世界マーケティング短信:アップル製品にChatGPT搭載

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:アップル製品にChatGPT搭載

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

アップル独自のAIChatGTPと連携 プライバシー重視を強調

アップルが年次開発者会議で、同社独自のAI「アップル・インテリジェンス(Apple Intelligence)」を発表した。AIが文章を理解して生成や要約、優先度に応じたメッセージ通知などが可能になる。プロンプトによる画像やオリジナル絵文字の作成、写真検索といった便利な機能の他、音声アシスタント「Siri」が端末内のデータや文脈を理解し、より複雑なアクションができるようになる。

同社はこれらの機能を端末上で処理し、必要があればアップル社のサーバーを併用することで、ユーザーのプライバシーを重視している点を強調し、他社との差別化を図った。

また、OSにオープンAI(OpenAI)の対話型AI「ChatGPT」を搭載したことも併せて発表された。ChatGPTのアカウントを作成しなくても無料で利用でき、SiriがChatGPTにアクセスする際にはユーザーに許可を求める。

世界の広告費成長率は5.0%と予測 電通グループ調べ

電通グループが「世界の広告費成長率予測」の改訂版を発表した。2024年の世界の広告費成長率は5.0%、市場規模は7,544億米ドル(約117兆円)となる見通し。主要市場(米国、英国、ドイツ、フランス、日本)の広告費支出の見通しが改善したことや、大型スポーツイベントの開催、多くの国で国政選挙が行われることが、プラス成長に貢献。世界第3位の広告市場である日本は、3.1%の成長を見込んでいる。

媒体別では、デジタル広告が全体の広告費の59.6%を占めており、特にリテールメディア(32.0%増)、ペイドソーシャル(13.7%増)、プログラマティック(10.9%増)、ペイドサーチ(7.7%増)が高い成長率となる見込み。テレビ広告は2.6%増で、全体の広告費の22.5%を占める。新聞・雑誌は2.6%減、OOHは4.2%増、オーディオは0.4%増、シネマは4.8%増という予測だ。

媒体別の成長率予測(電通グループ)

 

グレイの日本法人CEOに岡咲氏、APAC担当CEOにトロンベッタ氏

グレイグループの日本法人、グレイワールドワイドのCEOを2018年から務めた落合由紀子氏が退き、後任に岡咲匡彦氏が昇進した。岡咲氏は2022年にTBWA HAKUHODOから同社に最高ビジネス責任者として入社し、昨年7月から最高執行責任者(COO)を務めた。

グレイのグローバルCOO兼インターナショナルプレジデントを務めたナーヴィック・シン氏も退く。リージョナルCEOの役職が復活し、サラ・トロンベッタ氏がアジア太平洋地域担当CEOに就く。グローバルCEOのローラ・マネス氏はアジア太平洋地域を「成長優先」の市場と位置付け、リージョナル経営に力を入れる。

トロンベッタ氏は2016年からグレイの香港法人でCEOを務めた後、2019年に豪ハヴァス・レッド(Havas Red)に就任。2021年11月からはWPPでP&G担当の最高クライアント責任者を務めており、APAC担当CEO就任後も引き続き担当していく。

岡咲匡彦氏(左)と、サラ・トロンベッタ氏

 

BtoB企業、AIによるコンテンツ制作に慎重 カスタムメディア調べ

国内BtoB企業がコンテンツマーケティングで注目を集めてエンゲージメントを構築する上で、ストーリーテリングが「非常に重要」(37%)あるいは「ある程度重要」(58%)ととらえられている。カスタムメディア(Custom Media)が日本のBtoB企業を対象に実施した調査で明らかになった。

ストーリーテリングの方法として選ばれるのは「商品・サービスのケーススタディー」(58.5%)、「顧客の成功事例」(56.1%)、「ナラティブなブログや記事」(48.8%)など。一方、課題としては「オーディエンスへの効果的なリーチの担保」(50.0%)、「ストーリーテリングの効果測定」(45.2%)、「コンテンツ制作の維持」(45.2%)などが挙げられていた。

コンテンツの配信チャネルとしては「企業サイト/ブログ」(90.2%)、「ソーシャルメディア」(80.5%)、「電子メールのニュースレター」(78.0%)などが選ばれている。多様なチャネルでの配信には「コンテンツの量増加と質の維持」(58.3%)、「時間的な制約やリソースの効果的な管理」(58.3%)、「フォーマットやチャネル間での一貫性の確保」(37.5%)といった課題を抱えていると回答した。

回答者の94.2%が、生成AIはコンテンツ制作にプラスの影響を与えると考えている。しかし52%が生成AIをまだ使っておらず、29%が試験的に導入している段階だった。

 

(文:田崎亮子)

 

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

4 日前

世界マーケティング短信:ジャガーのブランド刷新、波紋を呼ぶ

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2024年11月28日

エージェンシー・オブ・ザ・イヤー2024 日本/韓国:結果発表

Campaign Asia-Pacific主催「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー2024 日本/韓国」の、受賞者/受賞企業が発表された。

2024年11月28日

若手クリエイターへのメッセージ 「歩みはゆっくりでも大丈夫」

若手クリエイターの悲痛な告白に対し、エージェンシーのCEOが共感と、実用的で実行可能なアドバイスを寄せた。

2024年11月27日

エージェンシーモデルを再考し、効率化を

現在の広告業界に対する不満は依然くすぶっている。人材とクリエイティビティー、そしてそれらの成長を妨げるシステムを再考して変革を実現すべし、と識者は唱える。