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化石燃料企業と組む広告会社を公表
広告業界などの有志が展開する「クリーン・クリエイティブス」が、2022~23年の化石燃料会社との契約500件と、その仕事を請け負う広告会社やPR会社計294社を明らかにした。「Fリスト2023」と称されたこの報告書によると、500件のうち140件は大手持株会社、残りの360件は独立系エージェンシーが契約したものだ。
同団体がFリストを公開するのは、今年で3回目。業界がわずかながらも改善していることに気付くと、エグゼクティブディレクターのダンカン・マイゼル氏は語る。例えば、2022年のリストを公表後にフォースマン&ボーデンフォース、ヴェイナーメディア、メディアモンクス、GSD&Mが、もう化石燃料企業とは協働していないと述べたが、この中でクリーン・クリエイティブスの誓約書に署名しているのはフォースマン&ボーデンフォースのみだという。
長期的に持続可能なビジネスになるために、何よりもまず必要なのは化石燃料企業と協力しないことだと同団体は主張する。持続可能性を重視する企業が業界内に増える中、今後は化石燃料企業をクライアントに持つエージェンシーとは提携しないところも増える可能性がある。「結局のところ、死んだ惑星にはクリエイティビティーなど存在しないのですから」(マイゼル氏)。
同団体では併せて、ニューヨークで屋外広告キャンペーンも実施している。大手広告会社の従業員に宛てたメッセージの背景にある写真は、この夏にカナダで発生した山火事がニューヨークで引き起こした深刻な大気汚染を写したものだ。
アップル、サステナビリティーの進捗を「母なる自然」に報告
アップルが環境への取り組みをプレゼンテーションする動画を公開した。CEOのティム・クック氏や、環境・政策・ソーシャルイニシアティブ担当バイスプレジデントのリサ・ジャクソン氏らが「母なる自然」に対して、持続可能性に関連した目標や進捗状況などを報告するというもの。
2020年に発表したカーボンニュートラル計画や植樹について、他社も同様のことを言っていると指摘しつつ、アップルがさらに一歩踏み込んだ目標に向かって取り組んでいる旨を説明する。また、世界的企業といえども模索を続け、失敗することもあるといった人間的な側面を描き出している。
ヴェロ(Vero)COOのラファエル・ラシュカー氏はCampaignに寄せた論説で、ユーモアを交えたモキュメンタリーの手法を用いて、複雑な話題を効果的にうまく盛り込んだ点を称賛。一方で、グリーンウォッシングの7つの大罪の一つである「曖昧さの罪」や、アップルウォッチがカーボンニュートラルな製品であると謳うことで他の環境負荷を隠す「隠れたトレードオフの罪」がないか、精査する必要があると指摘する。特にアップルは国際輸送や、世界各地に拠点を置く製造パートナー、希少資源やデータセンターの環境負荷、そして買い替え需要を喚起し続ける事業モデルなどが、環境に悪影響を与えてきた。
だがこれらの課題を踏まえても「アップルの持続可能性に関する声明は際立っている」と同氏。そして影響力のあるアップルの動きを「他社も追随する可能性がある」と述べる。
スタジオジブリ、日本テレビの子会社に
日本テレビ放送網がスタジオジブリの株式を取得し、子会社化する。日本テレビが株式の取得を進めて筆頭株主になり、日本テレビから派遣された役員がスタジオジブリの経営をサポート。スタジオジブリの自主性を尊重し、アニメーション映画の制作、ジブリ美術館やジブリパークの運営に専念していく。
声明によると「長らく悩んできたのが後継者問題」で、宮崎駿監督の長男である宮崎吾朗氏(アニメション映画監督)も候補に挙がっていたが固辞してきたという。経営を任せる候補を検討し、選ばれたのが長年にわたる付き合いのあった日本テレビだった。
スタジオジブリは今年7月に宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』を、宣伝を行わずに劇場公開したことが話題になった。
アディダス、懐かしさを呼び起こす動画三部作を公開
アディダスが、不動の人気を誇るスニーカー「ガゼル」「スーパースター」「サンバ」のキャンペーン動画を公開した。有名な三つ葉のマークが1972年に登場してから半世紀が経つ。その歴史をたどり、人々にどのように受け入れられカルチャーとして根付いてきたかを描いた三部作だ。企画を手掛けたのはニューヨークのクリエイティブエージェンシー「ヨハネス・レオナルド(Johannes Leonardo)」、制作はラブソング(Lovesong)ならびにモンキー・フィルムズ(Monkey Films)。
なお日本でも「ひとつのオリジナル、それぞれのスタイル」というキャンペーンが始まっており、一部店舗ではフォトブースを設置。10月中旬には原宿でイベント開催を予定している。
【お知らせ】
「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー2023」のエントリー最終締切が、10月4日に迫りました。詳しくはこちらをご覧ください。
(文:田崎亮子)