Ryoko Tasaki
2022年4月29日

世界マーケティング短信:グループエムやアクセンチュアで組織改革

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:グループエムやアクセンチュアで組織改革

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

グループエム傘下で大幅な組織再編

グループエム(GroupM)傘下のメディアコム(MediaCom、社員数約8,000名)とエッセンス(Essence、社員数約2,000名)が合併して「エッセンス・メディアコム(EssenceMediacom)」になり、CEOにはニック・ローソン氏(現メディアコムCEO)が就任する。ファインキャスト(Finecast)、ザクシス(Xaxis)、グループエム・サービシズ(GroupM Services)が統合し「グループエム・ネクサス(GroupM Nexus)」になることや、マインドシェア(Mindshare)とネオ(Neo)が統合することも、併せて発表された。

グループエムのグローバルCEO、クリスチャン・ジュール氏はCampaignに「コスト面でのシナジーを生み出すために実施するのではありません」と語る。「クライアントの成長と機会のためのシナジーを生み出すことを目指しているのです」。WPPグループでは現在、組織の再編が急速に進んでおり、WPPの日本におけるCEOに松下恭子氏を任命したことも発表されている。

 

アクセンチュア インタラクティブが改称

アクセンチュア インタラクティブは先日、「アクセンチュア ソング(Accenture Song)」に改称することを発表した。新しい名称について、同社は「時代とともに変化を続けてきたアクセンチュアの歴史を踏まえ、匠の技、つながり、インスピレーション、技術⼒そして体験は、不朽かつ普遍的であることを表現したもの」と説明する。「アクセンチュア ソングは、⼈々の想像⼒とアイデアを解き放ち、⽬に⾒える成果を⽣み出すことに貢献します」。

「アクセンチュア ソングは、私たちがお客さまと共に歩んでいくパンデミック後の成⻑の姿を表しています」と語るのは、アクセンチュア ソングのCEO兼クリエイティブチェアマンに就任するデイビッド・ドロガ氏だ。「今⽇、お客さまを取り巻く環境やニーズが著しく変化しています。次の成⻑の波をつかむために、企業は今、⼈々の変化に対応するスピードで事業を展開し、顧客、社員、そして世界全体との価値ある関係を作り続ける必要があります」。

同社は過去10年間でザ・モンキーズ(豪州)、エントロピア(マレーシア)など40社以上を買収してきたが、これらのブランドはすべてアクセンチュア ソングに統一される。今後も同じ名前で運営されるのはDroga5のみ。アクセンチュア ソングの売上高は今年度末(8月末)に140億米ドルに達すると予測される。

 

ユニリーバ、子ども向けの食品CM自粛をさらに強化

ユニリーバは、16歳以下に向けた食品関連のマーケティング活動を実施しない方針を発表した。インフルエンサー本人が16歳以下であったり、その主な視聴者が16歳以下である場合には起用しない。同社は2020年に、従来メディアで12歳以下(ソーシャルメディアでは13歳以下)に向けた食品のCMを行わないと発表しており、今回はその基準をさらに引き上げた形だ。

同社のアイスクリーム部門を率いるマット・クロース氏は、「今回の変更によって、子どもたちが飲食業界の広告に接する量を減らし、保護者が適切なおやつを適宜選ぶことをサポートするのが、私たちの目標です」と語る。
 

ユーチューブ広告の成長が鈍化

ユーチューブの広告売上の成長が伸び悩んでいることが、2022年1~3月期(第1四半期)の決算発表で明らかになった。前年同期と比較すると14%増(69億米ドル)ではあったものの、2021年には前年同期比49%増を記録していたことを考えると、成長は鈍化しているといえる。原因となったのはウクライナ侵攻に伴う欧州での広告支出削減と、アップル社のプライバシー強化だ。

親会社であるアルファベット社の売上高は680億米ドル(前年同期比23%増)、グーグルの検索事業は396億米ドル(同24%増)であった。
 

カンヌライオンズ、SDGs部門のエントリーフィーを寄付

カンヌライオンズの2020/2021年のSDGs部門には736作品がエントリーされたが、このエントリーフィーの総額346,528米ドルが慈善団体に寄付される。寄付を受け取るのはCCWDやWWFなど、同部門で受賞した6つの慈善団体。SDGs部門は国連とのパートナーシップによって2018年に立ち上がった。これまでのSDGs関連の寄付額は110万米ドルに上る。
 

iPhoneでのCM撮影、今度は海南鶏飯名店の確執を追う

シンガポールの屋台の名物料理といえば、チキンライス(海南鶏飯)だろう。その名店として知られる天天海南鶏飯と、そのすぐ近くで店を構える阿仔海南鶏飯の確執をおさめた動画をアップル社が公開した。

阿仔のシェフはもともと、天天で20年近く働いていた。しかし天天のオーナーが母から娘に交代してからは、方針の違いから対立。提供するメニューはもちろんのこと、看板の色までも同じ屋台を天天の3軒隣にオープンさせたのだった。

監督は、ドキュメンタリー映画『二郎は鮨の夢を見る』で知られる米国の映像作家、デイビッド・ゲルブ氏。この動画は、iPhone 13 Proのさまざまな機能を駆使して撮影されたもので、これまでも同様に有名監督がiPhoneで撮影したCMをいくつか公開している。

【お知らせ】

来週は「世界マーケティング短信」の配信をお休みします。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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