Ryoko Tasaki
2020年11月20日

世界マーケティング短信:デジタル音声広告の可能性

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:デジタル音声広告の可能性

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

ユーチューブ、音声広告を提供開始

ユーチューブは音声のみの広告フォーマット(ベータ版)を提供すると発表した。映像をほとんど見ず、音声を聴くためにユーチューブを利用するユーザーを想定した広告枠で、再生中の画面には静止画やシンプルなアニメーションが表示される。同社によると、初期のテスターであるシャッターフライ社は音声広告で広告想起率が14%向上、好感度が2%向上したという。

シャッターフライ社の音声広告:

 

BBCの記事を自動読み上げ 音声広告枠も新設

BBCグローバルニュースはBBC.comの記事を、AIを用いて合成音声で読み上げるツールを発表した。同社はマイクロソフトと連携して、新しい音声やAIソフトウェアを開発した。まずは「ザ・ライフ・プロジェクト」の記事で読み上げ機能を導入しており、12月末からは他のコーナーでも展開される予定。プレロール広告やスポンサーシップといった広告枠も設けられるという。

 

博報堂DYメディアパートナーズ元社員、詐欺罪の容疑で逮捕

博報堂DYメディアパートナーズの元社員ら4名が16日、詐欺容疑で逮捕された。容疑者は2016年ごろから3年にわたり架空取引詐欺を行い、約7億円を着服していた。同社は昨年9月に事態を認識して警察に相談し、社内調査を開始。容疑者は昨年9月末付で懲戒解雇されている。

 

予測解析ツールで信頼度や行動に対処

エデルマンは予測解析ツールを試験的に公開し、1月からの提供開始を目指す。消費者とのコミュニケーション、投資家向けの広報活動、従業員とのコミュニケーション、危機の予測など、さまざまな分野に活用できる。

社内コミュニケーション向けのツール「アクティブ・インプリント」を例に挙げると、ソーシャルメディアや求人口コミサイトで公開されている情報をもとに、従業員のエンゲージメントや信頼感、行動などを予測する。「最高人事責任者がチャンスを見つけ、リスクを理解し、社員に悪影響が及ぶ前に対処する上で、予測解析ツールは役立ちます」と、同社の従業員体験(EX)のグローバル責任者、シドニー・ローチ氏は語る。

 

電通グループら7社、循環型経済の支援プログラムを提供開始

電通グループ各社(電通、電通テック、電通ライブ、電通パブリックリレーションズ、電通デジタル、電通国際情報サービス)とMaterial ConneXion Tokyoは合同で、循環型経済の取り組みを支援するプログラム「SDGsビジネスソリューション」を提供する。SDGsに取り組む企業の課題に応えるため、事業戦略策定から回収サイクルまでバリューチェーン全体のコンサルティングや、コミュニケーションのサポートを行う。

 

博報堂と三井物産、生活者が主役のまちづくりで協業

博報堂は三井物産とともに、まちづくりサービスの実証実験を渋谷エリアで開始した。両社は、生活者が望む「ありたい街」や「ありたい暮らし」を実現する、生活者が主役のまちづくり「生活者ドリブン・スマートシティ」を目指し、今年9月から協業。渋谷エリアを対象としたデジタルアプリサービス「市民共創まちづくりサービス shibuya good pass」を開発し、2021年中の本格サービス開始を見据える。

連携サービスの第一弾として、小型車やマイクロバスをオンデマンドで呼び出せる月額定額の乗り放題モビリティーサービス「shibuya good ride」のテスト走行を実施した。実験期間を経て、来春からサービスを提供開始する。他にもエネルギー、都市農園、オフィスなどのカテゴリーで、さまざまな実証実験を開始していく予定だ。

 

ロンドンの地下鉄駅、プレステ5仕様に

プレイステーション5(PS5)の英国での発売に合わせ、ロンドンの地下鉄駅がPS5仕様のデザインとなった。地下鉄の入り口を示す看板が、PS5のコントローラーのボタン「△、□、〇、×」を模したものになった。他にも、いくつかの駅は期間限定で、駅名がゲームソフトに関連した名称に変わり、駅名標もゲームの世界観を描いたものに変更された。クリエイティブはレッド・コンサルタンシー、メディアバイイングはメディアコムが担当。

 

現実味のあるクリスマスCM

今年もいよいよクリスマスシーズンが迫ってきたが、家族愛やロマンスで美化された「クリスマスらしさ」とは一線を画すCMが英国で公開された。ペーパータオルブランド「プレンティ」によるもので、企画・制作はAMV BBDO。

家族が集まって過ごすクリスマスは、丸焼きにする七面鳥に詰め物をしたり、食べこぼしや粗相、怪我など、ペーパータオルが活躍する場面が盛りだくさんだ。「いつもぐちゃぐちゃ、でもこれは自分たちが汚したもの。ここより居心地のよい場所はない」というキャッチフレーズは、的を射ている。音楽はエヴァリー・ブラザーズの「Love Hurts」を、ハードロックバンド「ナザレス(Nazareth)」が1970年代にカバーしたもの。「愛は痛みを伴う、愛は傷つける…」という歌詞が、CM内の混沌とした様子とよく合っている。


(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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