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メタ社が1.1万人以上の社員削減を発表
フェイスブックの親会社であるメタ社が9日、全社員の13%にあたる1.1万人超を削減すると発表した。新規採用の凍結も、2013年第1四半期まで延長する。マーク・ザッカーバーグCEOは「メタの歴史の中で最も厳しい変化」と述べ、パンデミックで急成長したオンラインコマースが以前の傾向に戻ったことや、マクロ経済の低迷、競争の激化、広告収入の大幅な減少などを、人員削減の理由に挙げた。今後は広告、ビジネスプラットフォーム、AI(人工知能)、メタバースなどの事業にリソースを集中させるという。
同社の今年の第3四半期は、純利益が44億米ドル(前年同期比52%減)、広告の売上高が272億米ドル(同3.7%減)と芳しくなかった。
ツイッター社の買収、広告主の反応は
イーロン・マスク氏がツイッター社を買収し、従業員を半減すると発表してから、広告界も同氏の動きを注視している。「イーロン・マスク氏のツイッター社買収は、世界中の広告主にとって懸念事項。異なるのは、それぞれがどこに関心を払うかです」とエニグマ・コミュニケーション社(Enigma Communication)のデジタルストラテジスト、アントニオ・パヌッチョ氏は語る。「欧州ではデジタルサービス法(DSA)や一般データ保護規則(GDPR)などの厳しい法律に、ツイッターが準拠しているかどうかを注意深く見守っています。米国では、イデオロギーの二極化やブランドセーフティーへの関心が高いため、広告主はすぐに一時停止して潜在的なリスクを評価します」。
利用者数が世界で2番目に多い日本では、広告主はまだ静観しているようだ。アジア太平洋地域(APAC)でも影響は限定的だと、アセンブリー(Assembly)APAC担当バイスプレジデントのティム・ダーガン氏は述べる。同地域では匿名で意見を述べるような使い方よりも、ブランドや製品・サービスのレビューなどに使われることが多いことに起因するという。
ツイッター買収による広告への影響は軽微との予測
「活動家が広告主企業に圧力をかけたため、ツイッターの収益が大幅に減少した」とマスク氏は4日にツイートしたが、その一方で広告主企業や広告会社に与える影響はそれほど大きくないと、アメリカ広告業協会のメディア・テクノロジー・データ担当エグゼクティブバイスプレジデント、アシュヴィニ・カランディカー氏は考えている。「多くの広告会社にとって、ツイッターはメディアプランに必須なものではありません。そのため、プラットフォームの方向性が明らかになるまで広告主が掲載を一時見合わせても、安心していられるのです」。
スタグウェル・グループ(Stagwell Group)のマーク・ペンCEOも、ツイッターは「比較的小さな市場」であると認め、フェイスブック(2018年ならびに2020年)やユーチューブ(2017年)での広告ボイコットと比べれば、広告主への影響は軽微だと話す。「ほとんどのクライアントはツイッターにそれほど広告を出稿していない、あるいはまったく出稿していないということを認識すべきです」。
S4キャピタル(S4 Capital)の設立者であるマーティン・ソレル卿も今年7月、Campaign U.S.に対し「(ツイッターは)その特性や、シェア・オブ・ボイス(露出量)、PR価値、大統領が使っていたという事実などから、不釣り合いなほどにシェアを獲得しています」とコメント。しかし広告に関して言えば「かなり小さい」と述べていた。
化石燃料企業とのつながりを指摘されるヒル+ノウルトン
エジプトのシャルム・エル・シェイクにて国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催中だが、これに先立ち「クリーン・クリエイティブス」と「憂慮する科学者同盟(UCS)」は4日、WPP傘下のヒル・アンド・ノウルトン・ストラテジーズ(H+K)に化石燃料企業との関係を断ち切るよう求める書簡を公開した。COP27のPRを担当するH+Kがサウジアラムコ、エクソン・モービル、石油・ガス気候イニシアチブ(OGCI)などと協業し、キャンペーンを通じて人々に誤解を与えてきたことを批判したもので、書簡には400名以上の科学者が署名している。
クリーン・クリエイティブスの共同設立者であるジェイミー・ヘン氏は、「COP27のPRを担当するにあたって、H+Kはセンシティブな情報にアクセスできるのではないか」と指摘する。H+Kのクライアントである石油会社やガス会社はこのような情報を手に入れたがっており、「気候変動の会議のPRをH+Kに任せるというのは、たばこ関連の交渉をフィリップ モリスに任せるようなものです」。
W杯の人権問題、指摘するビールブランドに賛否両論
カタールで20日からFIFAワールドカップが開催される。だが、同国では同性愛が違法であることや、スタジアム建設に携わった外国人労働者が6500名も死亡したことなどから、開幕前から批判を浴びている。
そんな中、クラフトビール「ブリュードッグ(BrewDog)」が「アンチ・スポンサーシップ」キャンペーンを立ち上げ、英国内で屋外広告を展開している。期間中の同社のビール「ロスト・ラガー」の売上は、すべて人権擁護団体に寄付するとのことだ。
しかしキャンペーン開始後から、ソーシャルメディアでは「パブで試合を放映するならば、(W杯を)応援することになるのではないか?」と疑問を呈する投稿が続出。さらには昨年6月にブリュードッグの元従業員が立ち上げた団体が同社の「恐怖の文化」を告発したことに触れ、「まずは自社の問題に取り組むべき」「過酷な労働条件を批判するとは皮肉」との指摘も相次ぐ。