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政治に無関心な層に、政治家が訴えても伝わらない
新型コロナウイルスのワクチン接種に懐疑的、あるいは接種に反対する人々は、政治家から接種を促されても考えを変える可能性は低い――Tunnl社がワクチンに否定的な米国人5,000名を対象に実施した調査で明らかになった。そもそもワクチン反対派の61%とワクチン懐疑派の69%が最近の選挙で投票をしておらず、政治への関心が非常に低い。
彼らは従来メディアとの接触も少なく、代わりにWhatsApp(44%)、Tumblr(40%)、インスタグラム(39%)、Reddit(39%)、Twitch(36%)といったプラットフォームを好んで使う。ワクチンに消極的な人々の多くがZ世代とミレニアル世代で比較的若いことも、メディア接触の傾向に影響していると同社のサラ・フェイゲンCEOは語る。「若者が直面しているCOVID-19のリスクと、ワクチン接種によって簡単かつ安全にリスクを減らせるということを、ソーシャルメディアのキャンペーンで説得することが最善のアプローチでしょう」
日本では今月初め、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長がインスタグラムを開設し、フォロワー数が64万人を超えた。尾身氏は「若い人がこれからの時代に大事。その人たちと我々は、あまり対話する機会が今まで無かったんですよね。我々がメッセージを出しても、どうも若い年齢層に届いていないと感じていたので、こういう機会があれば若い年代層の人と対話したいと思いました」と、開設の理由を動画で語る。投稿や配信は有志の会のスタッフが支援しており、動画内のTシャツに書かれたハッシュタグによって広く意見を募っていく方針だ。
また今年2月には、感染症やワクチンについての誤情報が氾濫する中で科学的根拠のある情報を届けようと、医師たちが「こびナビ」というプロジェクトを立ち上げ、情報発信を行っている。
40年ぶりに再結成のABBA、アバター化し来春にコンサート開催
1970~80年代に活躍したスウェーデンのポップグループ「ABBA(アバ)」が40年ぶりに再結成し、アルバムをリリースする他、来年5月にコンサートを開催する予定だと発表した。アバのインハウスのマーケティングチームと共にコンサートの戦略マーケティングを担うのは、英国を拠点とするクリエイティブエージェンシー「TMWアンリミテッド」だ。
コンサートはバーチャルで行われ、メンバー4名の昔の姿を再現したアバターをモーションキャプチャーで動かして、10人編成のバンドと演奏する予定だ。映画『スター・ウォーズ』などを手掛けたVFX制作会社「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」も協力する。
関心のある社会課題、「少子化・高齢化」上位ランクインは日本のみ
電通総研と電通が7月に実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」によると、多くの国で関心を集める社会課題は「海洋プラスチックごみ」「貧困・飢餓」「大気汚染」などが上位を占める。日本も「自然災害」が1位であったが、次いで「少子化・高齢化」がランクインしたのは12カ国の中で日本のみであったことが明らかになった。
環境配慮の観点でいえば、日本の消費者はエコバッグ利用(78.8%)や詰め替え商品の購入(67.8%)への意識は高い一方で、不用品を手放す際に店頭回収ボックスに持って行ったり(20.8%)、寄付や中古買取を利用する(37.0%)という行動については12カ国中最下位だった。
環境広告らしくない、サステナビリティーのCM
環境問題やサステナビリティーが題材のCMといえば、木や草花といったイメージが多用されがちだ。だがブリティッシュ・ガス社(英国の大手電力会社)がこのたび公開したキャンペーンには、電気自動車を充電する、電気ケトルでお湯を沸かす、あるいはエアコンの温度をスマートフォンで調節するといった、ありふれた日常が映し出される。制作はニュークリアス。
「多くのサステナビリティーのキャンペーンとは真逆の作品にしたかった」と語るのは、制作に関わったThe&パートナーシップ社のクリエイティブディレクター、ミッキー・トゥーダー氏だ。「揺れる木や緑の野原も、遠くを見つめる希望に満ち溢れた子どもの姿もなく、グリーンウォッシングもありません。あるがままを表現しただけです」
(文:田崎亮子)