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オブザーバー、新興のトータス・メディアへの売却を検討
英ガーディアン・メディア・グループ(Guardian Media Group)が毎週日曜に発行する新聞『オブザーバー(The Observer)』を売却する交渉を、英トータス・メディア(Tortoise Media)と行っている。オブザーバー紙は1791年に創刊し、233年の歴史を持つ。売却額は公表していない。
同社CEOのアンナ・ベイトソン氏は売却交渉について「オブザーバー紙の未来を、多額の投資で築くチャンス。よりグローバルでデジタル化され、読者から資金を出してもらうガーディアンとなれるよう、成長戦略に注力できるようになります」とコメントした。
トータス・メディアは2019年、BBCニュースの元ディレクターであるジェームス・ハーディング氏、元駐英米国大使のマシュー・バーズン氏、元ダウ・ジョーンズの元プレジデントであるケイティ・ヴァネック・スミス氏が立ち上げた。
ハーディング氏は交渉について「オブザーバー紙はニュース界で最も有名な新聞の一つで、紙とデジタルの両方において将来性があると信じています。ガーディアンのもとで確立してきた価値観や基準を尊重し、オブザーバーの編集の独立性、エビデンスに基づく報道、誠実なジャーナリズムへの妥協なき取り組みを支持していきます」と語る。「ジョージ・オーウェルはオブザーバーを『ナンセンスの敵』と評しました。私たちは今もそうであることを、新旧の読者に示せることを嬉しく思います」。
グーグル、広告主向けに機密性を高めたマッチングを導入
グーグル(Google)は機密コンピューティング技術を使った広告主向けのツール「機密マッチング(Confidential Matching)」を導入した。広告主企業がファーストパーティーデータを、グーグルのソリューションと安全に接続するためのもので、高信頼実行環境(TEEs)によってデータ処理中に情報を隔離し、グーグルを含む誰もがデータにアクセスできないようにする。
全ての顧客が、追加料金なしで利用できる。同社は今後、多くの広告ソリューションに拡張し、世界中に展開していく予定。また同様のソリューションの開発を促すため、TEEsのオープンソース化にも取り組んでいく。
APACエフィー賞、審査結果を発表
効果的なマーケティングコミュニケーションを表彰する「APACエフィー賞2024」の結果が発表された。今回はグランプリ1個、金賞15個、銀賞29個、銅賞43個の合計88賞が選ばれ、豪州サッカー連盟(Football Australia)の「Til It’s Done」がグランプリを獲得した。
圧倒的な強さを見せたのがインドで、88賞のうち34賞を獲得している。全受賞者についてはこちら(英語)。
SeenThis、東京オフィスを開設
スウェーデンで2017年に創設したシーンディス(SeenThis)が、東京オフィスを開設した。日本での実績を足掛かりとし、アジアにおけるプレゼンスを拡大していく。東京オフィスを率いる飯嶋攝子氏は幅広いキャリアを持ち、直近ではアウトブレイン(Outbrain)で中堅企業担当の営業責任者を務めた。
シーンディスはアダプティブストリーミング技術を活用し、効果的な動画キャンペーンを実現。アテンションタイムを大幅に向上させながら、データの浪費を削減し、デジタルコンテンツ配信と気候変動への影響に貢献する。
CEOのジェスパー・ベノン氏は「APACの広告主がよりインパクトの強い、持続可能性の高いキャンペーンを実現できるようサポートしていくのが弊社のコミットメント」とコメント。「シンガポールと香港に続き、東京にオフィスを開設したことはその象徴。静止画像ベースのコンテンツから、より没入感のある魅力的な動画キャンペーンへ――。東京オフィスは日本の広告主を真摯にサポートし、市場の変革に貢献してまいります」。
大統領候補に着想を得たアイスクリームで投票促進
ベン&ジェリーズ(Ben Jerry’s)の共同創業者であるベン・コーエン氏とジェリー・グリーンフィールド氏は、米大統領選のカマラ・ハリス候補に着想を得たアイスクリームフレーバー「カマラズ・ココナッツ・ジュビリー」を発表した。ココナッツは幼い頃に母親から叱られたときのエピソードが基になっており、ハリス支持のシンボルとして広まった。
だが、ベン&ジェリーズの広報担当者によると、このココナッツアイスクリームは同ブランドから発売しているものではないという。「当社の共同創業者が個人として行っているプロジェクトであり、ベン&ジェリーズが実施するものではありません」。
同社と2012年から提携するエリクソン・コミュニケーション・グループ(Erikson Communication Group)創設者兼社長のエドワード・エリクソン氏によると「コーエン氏は時折、物議を醸すようなことをしてきた」のだという。「ベン&ジェリーズは自分たちの価値観に充実で、それをうまく伝えています」。
今回の新フレーバーは、政治団体「ムーブオン(MoveOn)」がコーエン氏に働きかけたことで誕生した。コーエン氏、グリーンフィールド氏、ムーブオンは投票を促進するため「スクープ・ザ・ボート(Scoop The Vote)」というツアーを行い、イベントや集会で無料アイスクリームを配る。また同ツアーには他のアイスクリーム店も提携している。
ベン&ジェリーズの共同創業者が選挙にちなんだアイスクリームを発表するのは今回が初めてではない。2016年と2020年にはバーニー・サンダース候補を支援するアイスクリームを発表している。
ダヴの有名な動画フォーマットで環境汚染を批判
ユニリーバ「ダヴ(Dove)」の、美の有害な基準を見直して女性の自己肯定感を高める企画「リアルビューティー」が20周年を迎えた。この節目に合わせて環境NGO「グリーンピース」が、同ブランドの環境への悪影響を批判するキャンペーンを展開している。
母と娘の会話をドキュメンタリー風に映し出す、ダヴの2022年のキャンペーン「#DetoxYourFeed」を模したフォーマットで、二人はソーシャルメディアの情報を見ながら、同ブランドのマーケティング施策への肯定的な感想を述べる。だが画面が切り替わり、使い捨てのプラスチック容器を大量に使用していることに焦点が当たる。動画は英グリーンピースのソーシャルメディアチャンネルで公開されている。
このキャンペーンを担当するアンナ・ディスキ氏は「この力強い動画には、ダヴの巧妙なマーケティング施策からにじみ出る偽善に対する、正直な反応が映し出されています。ダヴは女性を応援していると主張していますが、彼女たちはこの問題を受け流しません。このことはダヴにとって憂慮すべき反応でしょう」とコメントする。「プラスチック汚染の被害に『本当の美しさ』など無いことを、彼女たちは理解しています。おびただしい量の有害なプラスチックを世界に氾濫させ続けることはできないのです」。
【お知らせ】
マーケティング、広告、メディア業界で活躍したアジア太平洋地域の若き逸材を選ぶCampaign Asia-Pacific主催「40 Under 40(40歳以下の40人)」。今年は日本から原口亮太氏(TBWA HAKUHODOクリエイティブディレクター)が選出されました。詳しくはこちら(英語)。
(文:田崎亮子)