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ロレアルの差別抗議表明に、かつて契約解除したモデルが強く抗議
米国での白人警官による黒人暴行死に対し、世界各地で抗議活動が広がっている。さまざまなブランドが差別反対を表明 しているが、化粧品大手のロレアルが「声を上げることには価値がある」とインスタグラムに投稿したところ、マンロー・バーグドルフ(モデル)が「私が声を上げたとき、何をサポートしてくれたのか」と強く非難した。
ジャマイカ人の父と英国人の母を持つバーグドルフは2017年8月中旬、トランスジェンダーのモデルとしてロレアルの英国での広告キャンペーンに起用されたが、同月末に契約を打ち切られた。米バージニア州で白人至上主義者の集会で起きた衝突について、バーグドルフがツイッターに投稿した内容が、多様性を支持する同社の価値観と「矛盾する」ことが理由だという。
サイバー攻撃から社員と顧客を守る
コロナ禍によってリモートワークやオンラインセミナーの普及・浸透が進む一方で、サイバー攻撃のリスクも高まっている。クリエイティブ界の多様性を促進する団体「クリエイティブイコールズ」のリディア・アモア氏は4月、Zoom上での講演中にハッカーから人種差別的な画像を表示された。この経験をもとに、社員をサイバー攻撃から守るための「STOPITプロトコル」を、ジェイミー・マッコーエン博士(香港理工大学)と共にまとめた。
サイバー攻撃がうつ症状や不安障害を引き起こすケースは少なくなく、社員の安全配慮と健康管理の問題として捉えるべき、とマッコエーン氏は説く。M&Cサーチのニール・ウォーCIOによると、フィッシング攻撃はパンデミック以前と比較して650%も増えているとのこと。安全性の高いパスワードへの変更や2段階認証といった対策の他、顧客や、ターゲットにされた人たちのことも包括的に考慮する必要がある。重要なのはブランドの存在意義や価値を見失うことなく、長期的な視野に立って対応することだという。
巨大IT企業への規制強化
大手プラットフォームの規制を強化する「特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律」が5月末に成立した。対象となるのはグーグル、アマゾン、楽天など、モール型の通販プラットフォームやアプリストア。出店する中小事業者に対し、契約を変更する際には事前通知をすることや、苦情を受け付ける手順を整えること、検索結果の表示順について説明することなどを定める。経済産業省への毎年1回の報告も義務付けされ、取引企業からの意見も併せて評価され、結果が公表される。今後、インターネット広告も対象となる予定だ。
巨大プラットフォームへの依存度が高まる中で、オンライン上の取引の透明性を高めること、立場の弱い中小事業者を守ることを目指すもの。だが「イノベーションの阻害」(西村康稔 経済再生担当大臣)を懸念し、GDPR(EU一般データ保護規則)のような罰則は設けられていない。
「コロナ後」へ 日仏は消費に意欲的
マッキャン・ワールドグループが4回目となるグローバルアンケートの結果を発表した。この調査は3月上旬と下旬、4月上旬に続くもの。今回は4月27日〜5月7日にかけて、世界16カ国・1万6000人を対象に行われた。この時期、日本では政府の専門家会議が「外出自粛は当面維持することが望ましい」と発表し、5月末までの緊急事態宣言延長を決定。欧州では欧州委員会が制限措置の解除に向けたロードマップを発表、出口戦略に沿って経済活動の一部が再開された。米国でも同様に、一部の州で経済活動への制限が緩和された。
日本では、パンデミック終息後に「感染防止のための学びを生かし、新しい生活に変える」と答えた人が57%、「元の生活に戻りたい」と答えた人は43%だった。また消費行動に関しては、日本とフランスで「できなかったことをやる / 買いたかったものを買う」と答えた人が多く、それぞれ54%、57%(下のグラフを参照)。逆に「支出に慎重になる」と答えた人が多かったのはイタリア、インド(ともに69%)、ドイツ、米国(ともに68%)、英国(65%)、中国(55%)だった。
(文:田崎亮子、水野龍哉)