オーストラリアの通信大手テルストラ社のデジタル・メディア&コンテンツ・ディレクターを務めていたアダム・グッド氏はこのたび、Dentsu Branded Agenciesの日比野貴樹CEOの下で働くこととなり、拠点もシドニーからシンガポールへと移る。
Dentsu Branded Agenciesは、電通のグローバル・クリエイティブ・ネットワークだ。
グッド氏は、同社における自身の役割について、クライアントの事業計画を分析することが最優先だと話す。
「チーフマーケターは一人で仕事をするわけではなく、CEOや最高技術責任者(CTO)と共に事業計画を作っています。デジタルトランスフォーメーションがビジネスにどのように寄与するのか、多くの企業が検証しています。そしてこれこそが、私たちが貢献できる領域なのです」
だが、事業計画への助言は通常、コンサルティング会社の役目だ。クライアントの事業計画に広告会社がより積極的に乗り出すことについて、企業側ではどのように受け止められるだろうか。グッド氏は、広告界が長年にわたってデジタル社会への移行を促進してきたことを指摘する。
「サービスの統廃合が進む昨今、別業種企業の事業と競合することはあります。ただ、コンサルティング会社が提案するのはテクノロジーの購入や導入といった観点であるのと異なり、広告会社はカスタマーへの理解という別の視点から関わることになります」
新しいデジタル時代に利益を生み出すには、テクノロジーだけでなく文化も理解することが重要だ。そう実感する企業は増えてきている、とグッド氏は語る。
そして広告界の強みは、データやインサイトに基づいたカスタマーへの理解であり、企業にとって強力なビジネスパートナーになり得るという考えだ。
「日々進化するデジタルエコノミーをナビゲートし、テクノロジーを有効活用することで、カスタマーエクスペリエンスの向上を目指す。ここに私たちは取り組んでいくのです。エンゲージメントの高い幸せなカスタマーこそが、企業が求める究極の結果なのですから」
(編集:田崎亮子)