* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
LGBTQ+コミュニティーを支援するブランドが昨年撤退したことを受け、マーケターたちは今年3月、プライド月間は活気に乏しいものになりそうだと予測していた。そして最近マーケターとの会話から、この暗い見通しは正しかったことが明らかになった。
「昨年メディアが、二の足を踏むブランドの様子や反LGBTQ+法案について報じたことで、コミュニティーへの支援に対する不安感や動揺を引き起こしました」と語るのは、ルパイン・クリエイティブ(Lupine Creative)の創設者兼CEOのケイト・ウォルフ氏。同氏はマーケティングと広告におけるLGBTQ+の表現を増やすことを目指すNPO「ドゥ・ザ・ワーク(Do The WeRQ)」の共同創業者でもある。
昨年のプライド月間直前にはバドライト(Budlight)が、トランスジェンダーのインフルエンサーであるディラン・マルバニー氏とのパートナーシップが激しく炎上し、不買運動に発展。この影響で事業が苦境に陥り、親会社のアンハイザー・ブッシュ・インベブ社(Anheuser-Busch InBev)はLGBTQ+コミュニティーへのコミットメントを撤回した。
小売大手ターゲット社(Target)のプライド関連商品の陳列や、スターバックス(Starbucks)の店内装飾に関する騒動も起こり、以前からプライド月間を支援してきた他ブランドも、同様の窮地に陥ることを恐れて撤退を決めた。
昨年相次いだブランドの撤退が、「今年のプライド月間中のLGBTQ+コミュニティーへの支援を、躊躇する空気感を醸成してしまった」とウォルフ氏は言う。
その影響はすでに顕著で、たとえば今年はプライド月間のコレクションを発表したブランドはほとんどなく、発表したブランドも大々的な宣伝を実施していない。
ターゲット社は今月初め、プライド月間をテーマにした商品を全店舗で販売しないと発表した。昨年は、特に子ども向けの商品について誤情報が拡散したため、トランスインクルーシブ関連の商品や、LGBTQ+アーティストとのコラボレーション商品の一部を撤去していた。
同社がプライド月間関連のラインナップの縮小を決定したことは「マス市場に幅広く訴求する力を持つブランド」の動きとして「悪い前兆」だと、オーシー・アドバタイジング(Orci Advertising)でシニアバイスプレジデント兼ECDを務めるディエゴ・アンドラーデ氏は指摘する。
さらに、保守派団体が企業の株主に対してLGBTQ+関連のマーケティングを再考するよう圧力をかけている。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ターゲット社の他にモンデリーズ(Mondelez)やデル(Dell)が、株主提案に対する投票を行う見込みだという。
全体的に、「過去にプライド月間に関与してきたブランドは規模を縮小し、これまで有意義な活動を実施したことのないブランドは、さらに躊躇している」ようだとアンドラーデ氏はみている。
ザ・ソーシャル・エレメント(The Social Element)の共同CEOであるアシュリー・クックスリー氏は、プライド月間の計画を立てている数少ないクライアントは、ソーシャルメディア上の活動を「今年は控えめに」しており、これは「プライド月間という名前とは逆行している」と語る。
ただし、「大規模なキャンペーンに関しては、このような動きはあまり見られません」とも。
「クィアの人々を包摂するブランドは、クィアではない人々の大半から好意的にとらえられる傾向にあり、若い世代ではクィアがますます増えているというデータがあります。それにも関わらずクィアの包摂を訴求する広告は、依然として挑発的とみなされてしまう」ことを反映しているというのが、アンドラーデ氏の見解だ。
エージェンシーへの影響
ブランドがプライド月間への参加を躊躇していることが、エージェンシーに持ち込まれる仕事の量にも影響を及ぼしている。
タックス・クリエイティブ(Tux Creative)の共同設立者兼CEOであるドミニク・トレンブレイ氏によると、例年とは異なり、今年はプライド月間のプロジェクトが無いという。同社が昨年手掛けたプライド関連のプロジェクトは、バドライトの騒動が起こる前に依頼された案件だった。
ウォルフ氏によるとルパイン・クリエイティブでは通常、第2四半期の初めにプライド月間のキャンペーンについて議論を始めるという。しかし今年は「設立以来、最も静かなプライド月間だった」という。
ブランドのプライド月間からの撤退は、静かに進行している。エージェンシーはクライアントからプライド月間に関する連絡がないため、キャンペーンの計画や作業もままならない状態だという。
アンドラーデ氏は、今年のプライド月間への参加予定の有無について、クライアントから決定的な連絡を受けていないという。むしろ、この話題にあえて触れることを避けているようで、「特定のターゲットを絞ったキャンペーンを行おうという話があっても進展しなかったり、そもそも議題として取り上げないのです」。
ザ・ソーシャル・エレメントのクックスリー氏は、6月のプライド月間まで2週間を切った時点でも、多くのクライアントで上層部が最終承認を遅らせたために、期間中の計画を確定していなかったと振り返る。
「実際にクライアントの多くは計画を持っていると思いますが、上層部からのゴーサインが出ないため、私たちに話さないのでしょう」と同氏。「6月に入ってから予想以上のことが起こり始めても、私は驚きません」。
各ブランドが自社の計画を確定させる前に、他ブランドの動向や消費者の反応を静観しているのではないかと、クックスリー氏はみている。
プライド関連企画への躊躇は、エグゼクティブが社会問題全般について発言することに消極的になっていることも関係しているかもしれない。エデルマン(Edelman)のトラストバロメーター調査によるとエグゼクティブの87%が、社会問題に対して公の立場を取ることは沈黙することよりもリスクが高いと考えているとウォルフ氏は指摘した。
「10人中9人のエグゼクティブが、この激動の時代において、自身のキャリアへの投資対効果に見合わないと考えているのです」とウォルフ氏。「これは地域社会にとっても、ここ数年で成し遂げてきた進歩にとっても、明らかに問題です」。
通年でのLGBTQ+インクルーシブが、必ずしも前進とは限らない
今年のプライド月間への投資が不足している要因として、マーケターがLGBTQ+の包摂を年間を通じて訴求する方向にシフトし、「混み合う6月を避け、別の月に資金を再配分している」可能性があるとウォルフ氏は言う。
これはLGBTQ+の認知度を、年間を通じて高めることにつながるとアンドラーデ氏は付け加える。「これをブランドや、マーケターとしてのアイデンティティーにとって、根幹をなすものにしなくてはなりません」。
「小売業の地域ターゲティングのメッセージに、クィアなカップルを登場させてください」と同氏。「その方がクィアの消費者である私にとって、1年に1度の大々的な施策よりも、はるかに大きな意味を持ちます」。
クックスリー氏もまた、DE&I(多様性、公平性、包摂性)の価値観をブランド戦略全体に組み込もうという変化に注目している。これは、ブランドが「LGBTQ+コミュニティーからのメッセージに耳を傾けており、上層部との議題にも多様な意見が集まることを期待している」という兆候だ。
しかし、LGBTQ+の包摂に通年で取り組むことと、彼らの本質をとらえた描写がされていることは、必ずしもイコールではない。
アンドラーデ氏によると、多くのブランドは多様な人物を目に見える形で表現することには抵抗が無いものの、包括的なストーリーテリングや感情面での共鳴には十分に落とし込めていない。
「目に見える形で広告にクィアの人々を登場させることは、もはや勇敢なことでも挑発的なことでもありません。私たちが生きている現実を反映しているのです」。
PRとコミュニケーションのコンサルタントであり、ドゥ・ザ・ワークの共同設立者でもあるグレアム・ノーラン氏によると、ブランドは現在「ブランドの言葉と行動の違いに人々が気付く世界」で広告を出している、つまりブランドは多様なストーリーテリングに「誠実さを加えなければならない」という。
プライドの軸足は社内コミュニケーションに移った
数年前の6月には、虹色をあしらった派手なマーケティングキャンペーンがあちこちで展開されていた。それとは対照的に、今年は消費者向けのプライド関連広告が減少し、従業員向けの社内コミュニケーションに軸足が移っていることに、今回インタビューに応じた広告会社の幹部たちは注目する。
ノーラン氏は、これはブランドが「言葉と実際の行動が一致するよう、組織内を整える」取り組みではないかと述べる。
また、ブランド側が「本質的な発言を何もしない」のであれば、対外的なコミュニケーションを控えるのは「必ずしも悪いことではない」とも語る。
「もしブランドが、何もしなければ決断をしなくて済むと考えて沈黙しているのであれば、長期的にはうまくいかなくなるでしょう」と同氏。「もし自分たちの主張と行動が一致し、アクションとして結実した際に公開したいという理由なのであれば、その努力は称賛に値します」。
本質をとらえた表現を求めているのは、クィアのコミュニティーだけではないとアンドラーデ氏は指摘する。「家族や同僚にクィアの人がいたり、愛するクィアの人がいる人など、間接的に関わるすべての人が求めているのです」。
また「彼らは自分たちのコミュニティーが、マーケティングに反映されることを望んでいます」と言い添えた。