NPO「たばこフリーキッズ」と調査会社「ネットノグラフィカ(Netnografica)が世界規模で行った調査結果を発表した。それによると、大手たばこ会社 −− フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、JT(日本たばこ)インターナショナル、インペリアル・ブランズなど −− は透明性のないインフルエンサーマーケティングを活用し、若者層へのプロモーションを図っているという。
Campaignは、「通常のたばこよりも安全性が高い」として無煙たばこのセールスに注力するPMIの記事を紹介したばかりだが、報告書は期せずして同時期に発表された。
その中でたばこフリーキッズは、「自社製品を魅力的に演出するため、マールボロなどのたばこメーカーがソーシャルメディアインフルエンサーとのビジネス上の関係を明かさないまま、日常的に利用している」と言及。また、PMIやBATと協働し、ごく自然に見せかけるプロダクトプレイスメントで「たばこを若者層に直接的にアピールしている」という匿名インフルエンサーのインタビューも紹介している。
こうした事実は、「喫煙者を通常のたばこからアイコス(IQOS)などの無煙たばこに切り換えさせる戦略に力を入れている」というPMIの姿勢に疑問を投げかける。Campaignは調査結果を踏まえ、PMIのコミュニケーション担当グローバルディレクターであるトマソ・ディ・ジョバンニ氏に質問をした。
報告書の内容が事実かという問いに同氏は直接的に答えず、グローバルマーケティングに関するPMIの4つの基本方針を述べた。それは1)成人喫煙者に向けて製品を売る2)消費者には製品が健康に害を及ぼす危険性があると告知する3)消費者と誠実に向かい合い、正確な情報を与える4)法令を遵守する、というもの。そして、「我々のマーケティングは新たな喫煙者を増やすことを目的としたものではありません」とも。
ブランドとインフルエンサーとのビジネス的関係を明らかにすることをPMIはどう捉えているか、また喫煙者を無煙たばこに切り換えさせるためにインフルエンサーをどのように活用していくのかといった問いに対しては、明確に答えなかった。
「我が社の無煙たばこは、現時点における成人喫煙者に可燃式たばこから切り換えさせるために考案され、彼らだけを対象にしています」
また、アイコスなどの無煙たばこを売るためにインフルエンサーをより活用していくのか、無煙たばこと通常のたばこで予算をどう使い分けるのかといった問いには、「将来的なプランに関しては、会社の方針でコメントできない」とした。
PMIは「たばこをやめる意思のない顧客の少なくとも30%を、2025年までに無煙たばこに切り換えさせる」目標を明言している。それを達成する手段として、広告代理店やPRエージェンシーとの契約やコミュニケーション活動をステップアップさせていく方針だ。
アイコスに加え、PMIはティープス(Teeps)やスティーム( Steem)など様々な加熱電子式たばこを販売する。PMIがこれらの製品を手がけてからまだ日は浅いが、他の大手たばこメーカーも各種の無煙たばこを販売しており、競争は徐々に激しさを増している。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)