電通総研が、「生活者が選ぶ話題・注目商品2016ランキング」を発表した。第1位に選ばれたのはポケモンGO。トップ20にランクインしたアイテムは、厳密に言えば「商品」ではないイベントやインターネットミームも含まれるが、時代の気分や日本の消費者の関心事を反映する。
ランキングの調査はこの10月、株式会社ビデオリサーチによって行われた。2,000人を対象としたインターネット調査で、回答者は120の商品やサービスについて「今、流行っている」「今後、流行る」「流行っていないし、今後も流行らない」「知らない」という4つの選択肢から回答した。
ポケモンGOが第1位となったのは予想通り。このAR(拡張現実)テクノロジーを用いたゲームは世界的大ヒットとなり、ポケモンGOを開発したナイアンティック社とポケモン社の株式を保有する任天堂の株価は、一時的に跳ね上がった。
第2位は新海誠監督の長編アニメーション映画「君の名は。」。少年と少女の心と身体が入れ替わってしまうストーリーで、予想に反して日本中に一大旋風を巻き起こし、総興行収入は1億7,400万米ドルと言われている。
ほかには、リオデジャネイロ五輪・パラリンピック、iPhone 7、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」といった誰から見ても当然のアイテムがランクイン。さらには「シン・ゴジラ」、ユーチューバー、インスタグラム、ドローンなども多くの注目を集めた。
人気急上昇だったのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン。その裏には、P&Gから移籍したマーケターによるブランド構築の努力がある。ハロウィンも多くの人々が楽しむ年中行事として定着しつつあり、引き続きランクイン。ソーシャルメディア上で盛り上がりやすいという特性が、数年前から広く人気を呼び始めた主たる要因だろう。
海外の人々には意外でも、日本では違和感なく受け入れられたのが、お笑いタレント古坂大魔王扮する「ピコ太郎」が歌う「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」。全身アニマル柄の衣装を纏ったピコ太郎のユーチューブ動画は、9月に公開されて以来1億6,600万回近く再生されている。ピコ太郎が話題になり始めた当初、Campaignはこのキャラクターに大いに戸惑ったが、今ではその「個性」を理解できるようになった……と言える。
PPAPとは趣が正反対の「ふるさと納税」も、話題を集めたアイテムだった。以下がトップ20のリスト。
【生活者が選ぶ話題・注目商品2016ランキングベスト20】
1位 ポケモンGO
2位 「君の名は。」
3位 リオデジャネイロ五輪・パラリンピック
4位 広島東洋カープのセ・リーグ優勝
5位 PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)/ ピコ太郎
6位 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」
7位 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
8位 「シン・ゴジラ」
9位 ハロウィン
10位 NHK大河ドラマ「真田丸」
11位 ふるさと納税
12位 ユーチューバー
13位 インスタグラム
14位 ドローン
15位 ラグビー日本代表チーム
16位 NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」、「とと姉ちゃん」
17位 TVアニメ「おそ松さん」
18位 iPhone 7
19位 G7伊勢志摩サミット
20位 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
電通広報部長の河南(かんなん)周作氏によると、調査対象とした120アイテムは電通総研による選定。その選定基準は明らかにされていない。「2016年には多くの魅力的な商品が登場した」と言う同氏。「SNSの普及で消費者同士が広くつながるようになり、提供者の思惑を超えて、商品やサービスを自由に使ったり楽しんだりするようになりました」。電通ではこのようなトレンドを「コンテンツスタイリング消費」と呼んでいる。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)