この調査は2005年から実施されているもので、生活者のデジタルメディアへの意識とその利用実態を明らかにするもの。対象となったのは15〜74歳の2,400人。
今回の調査ではデジタル利用に関してだけでなく、「第4次産業革命」が進行中と言われる現代から未来を見据え、2030年に生活者が期待する新しい技術についても聴取を行った。
その結果まず分かったのは、2030年頃までに実現・普及していると思われる技術の認知度は、概ね8割以上であること。総じて女性の認知は男性よりも低い傾向にあり、とりわけAI住宅やウェアラブル端末に関して女性が10ポイントほど低い年齢層もあった。
期待の高い技術としてトップに挙げられたのは、医療技術(ナノテクノロジー)。以下、医療技術(iPS細胞、ゲノム編集)、介護ロボットと続いた。完全自動運転車やAI住宅、IoT家電といった生活の利便性を上げてくれる技術よりも、健康をサポートしてくれるものへの期待がより大きいことも判明。また、日常会話ができるロボットや空飛ぶ自動車といったこれまで映画の世界だけに存在したものの実現可能性が高まるなか、それらへの期待は予想に反して相対的に低かった。
翻訳・通訳技術や農業ロボットも上位にランクイン。労働人口の減少が社会的課題となりつつあるが、外国人労働者の増加で国内でも外国語によるコミュニケーションの必要性が高まっていること、農家における人手不足解消への期待などが反映された結果と言えよう。
健康関連技術への期待は幅広い世代で高いが、とりわけシニア層で著しい。AI住宅、IoT家電、ウェアラブル端末など、生活の利便性を上げる技術に対しては20〜40代で期待が高かった。また空飛ぶ自動車や宇宙開発など、実用化は2030年以降と目される技術には10代が高い期待を抱いていた。
(文:水野龍哉)