アサツー ディ・ケイ(ADK)が10月18日、インターネットメディア「POSTAD」をスタートさせた。
主な読者層として想定しているのは広告、メディア、クリエイティブに携わる若者。特集テーマを2カ月に1回ほどのペースで設定し、関連記事を順次発表していく。
同メディアのコンセプトは「実体験が、原動力。」で、モノよりも体験の重要度がますます増していく時代において「世の中に渦巻く情報を鵜呑みにせず、現場に足を運んで、汗をかきながら解き明かしていく」ことを方針に掲げている。ADK社員が中心となって構成する編集部員が直接見て対話し、触れることで、日々感じる疑問などを明らかにした「価値のある一次情報」をコンテンツとして届けていく。制作にはウェブマガジン運営などを手掛けるクリエイティブカンパニー「CINRA」が協力している。
第1回目のテーマは「ワーキング・アイデンティティ わたしらしい仕事のつくりかた」。ユニークな働き方を採用している工場でADK人事部の社員が職場体験したレポートや、有識者へのインタビュー、調査分析、描き下ろし漫画など盛りだくさん。今後発表予定の記事タイトルも載せられており、期待感を煽る。
広告会社が発行するメディアとしては他に、電通が社員や業界内に配布してきた1946年創刊のタブロイド版『電通報』(2013年より月間、非売品)と、よりタイムリーにウェブ上で公開する『ウェブ電通報』、博報堂が1948年に創刊した雑誌『広告』(季刊、定価490円)がある。
どれも社員が編集に深く携わっている点は共通している。『電通報』には特集があるものの、業界動向の俯瞰しやすさはタブロイド新聞ならでは。一方で『ウェブ電通報』は、話題となった広告の裏舞台や、育児休業を取得した社員の気付き、「インフルエンサー選択」や「アドベリフィケーション」といった専門性の高い話題など、多岐にわたるテーマを扱っており、実に多くの電通社員が登場する。
博報堂の『広告』は数年ごとに編集長が交代し、編集方針や特集テーマ、デザインテイストが編集長によって大きく変わる。最新号の特集は「くそったれ!穴埋め主義 失敗したって何とかなるさ」。一体どのような内容になるのか想像しにくいが、まさに「誰も見たことがない予測不能の答えや、計算外の可能性」を探り当てようとすることが狙いなのだとか。
(文:田崎亮子)