Darren Woolley
15 時間前

AIの視点から見た、2024年のマーケティングの課題

プライバシー問題、経済の混乱、そして移り変わりの激しいデジタルの世界――。トリニティP3(Trinity P3)の創設者兼CEOであるダレン・ウーリー氏が、2024年のアジア太平洋地域におけるマーケティングの最重要課題をAIにランク付けさせた。

画像:Shutterstock、AIによって加工
画像:Shutterstock、AIによって加工

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

「モバイルの年」はもう忘れよう。私たちは今、「AIの10年」を生きているのだ。生成型のAIのみならず、あらゆるタイプの人工知能がこの12カ月間、マーケティングの話題に上がり続けている。そこで、このトレンドを反映し、特にアジア太平洋地域におけるマーケティングの課題のトップ10を重要度の高い順に示すよう、AIに指示した。

この実験の一環として、私はマーケティング、メディア、広告にフォーカスするため、Campaignの購読記事でAIを訓練した。AIの出力は有益だったが、文脈やニュアンスが欠けたものが多かったため、それらを追加した。

過去12カ月間に世界が直面したマーケティングと広告の課題の多くは、アジアでも同様に当てはまった。しかし、具体的な状況や影響については、国や地域によって異なる。AIが特定し、ランク付けした課題は以下の通りだ。

1. プライバシー規制とデータ保護:GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が消費者のプライバシーに関する方向性を決めているが、中国やインドなどの国々では、欧米と同様の厳しいデータ保護法が施行されており、コンプライアンスはマーケターにとって大きな課題となっている。例えば、インドの個人情報保護法案は2025年に施行予定で、企業が消費者データを収集、処理、保存する方法について広範囲な影響を及ぼすだろう。質の疑わしいサードパーティのデータソースも相俟って、マーケターは代替オプションとして合成データに注目している。

2. 消費者行動の変化:パンデミックは既に終わったかのように感じられるかもしれない。だがアジア全域ではその長引く影響によって、消費者行動の変化が加速している。eコマースとデジタルエンゲージメントは著しく増加しており、ブランドは迅速に適応する必要がある。パンデミックで世界中の市場は混乱したが、消費者行動に最も大きな混乱と影響をもたらしたのは経済的なものであり、インフレと生活費の高騰が最大の懸念事項となっている。

3. デジタルトランスフォーメーション:アジア太平洋地域の多くの国々では急速なデジタル成長がみられ、ブランドは消費者の期待に応えるためにデジタルケイパビリティーを高めることが求められている。また、既存のテクノロジープラットフォームにAIを統合するなど、新しいテクノロジーに適応する必要性も高まっており、多額の投資が必要だ。例えば、インド最大の自動車メーカーの一つであるタタ・モーターズ(Tata Motors)は、生産とサプライチェーンのプロセスにAIを統合するなど、デジタルトランスフォーメーションに多額の投資を行うと発表している。この投資が期待通りに回収できているのか、という疑問は残る。

4. 広告疲れと消費者のアテンション(注目):オンラインコンテンツが飽和状態にあるため、消費者の広告に対する反応がますます鈍くなり、ブランドは消費者からの注目を集めることが難しくなっている。デジタルコンテンツの急増に伴い、マーケターはよりクリエイティブに、そして大胆にこの混乱を切り抜けなければならない。

5. 測定とアトリビューション:特にマルチチャネルマーケティングへの依存が高まる中で、さまざまなチャネルにわたるマーケティングキャンペーンの効果を判断することは、依然として複雑な課題だ。 アトリビューションと予測的な意思決定のため、AIのマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)への適用に投資が増え、関心が高まっているのも不思議ではない。

6. サプライチェーンの混乱: 世界的なサプライチェーンの問題はアジア太平洋地域全体において、製品の入手可能性や配送を左右し、マーケティング戦略と顧客満足度に影響を与えている。しかし、サプライチェーンの問題はコスト増の言い訳にもなっており、企業に大きな利益をもたらす一方で生活費の高騰を引き起こしている。

7. サステナビリティーとエシカルマーケティング:特にアジアの若い消費者層の間ではサステナビリティー(持続可能性)やエシカル(倫理的)な取り組みに対する意識が高まっており、ブランドは対応を迫られている。しかし経済危機や生活費の高騰が続く中、請求書の支払いや食卓に並ぶ食べ物といった日常的なものにフォーカスが当たっていく可能性がある。

8. 才能ある人材の獲得と定着:マーケティング業界は人材不足に直面しており、デジタルマーケティングやデータ分析の熟練した専門家を見つけるのが困難になっている。しかし、マーケティングの役割をより魅力的なものにする取り組みを強化すれば、この問題はすぐに解決できるだろう。

9. 広告費の高騰:コストを押し上げ、多くのブランドに予算とROIの課題をもたらしている原因は、デジタル広告への需要増加だけではない。しかし、上場企業の利益率などを含め、あらゆるものの価格は上昇している。

10. 文化的な感受性と包摂性:アジアは世界で最も文化的に多様な地域だ。誤解を避け、異なる文化背景を持つ人々に不快感を与えることなくメッセージを確実に伝えるよう、ブランドは引き続きこの複雑な状況に慎重に対応していく必要がある。だがナショナリズムの高まりや経済の引き締めにより、こうした懸念は和らぐ兆候がある。

これらはあなたにとって、2024年のマーケティングにおける最重要課題だっただろうか? AIは何か重要なことを見落としていないだろうか、あるいはランキングは偏っていないだろうか?

私にとって2024年の重要な教訓は、AIは非常に有益なツールではあるものの、人々を動かし、やる気を起こさせ、刺激を与えるものを理解するという、ビジネスにおいて最も人間的な分野においては、人間に取って代わるには程遠いというものだ。こういった洞察はマーケティングを成功させる上で不可欠だ。いつの日かAIもそこに到達するかもしれないが、まだ明らかではない。

AIは2024年のマーケターの最大の課題として「予測不可能な人間の心理を理解すること」をランキングに含めるべきだったのかもしれない。最も高度なアルゴリズムでさえも、人間の気まぐれで非合理的で、しばしば矛盾する行動の本質を理解するのに苦労している。これはまさにマーケティングが芸術であり、科学でもあることの本質といえる。機械はすぐに科学を習得するかもしれないが、芸術についてはしばらく時間がかかりそうだ。


ダレン・ウーリー氏は、マーケティングコンサルティング会社「トリニティP3(Trinity P3)」の創設者でグローバルCEO。

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