現代的なデザインに変更されたM&M’Sのキャラクターに対し、FOXニュースの司会者タッカー・カールソン氏は、「セクシーさが失われた」とコメントした。だが、M&M’Sはこうした意見はあまり気にしていないようだ。
それというのも、カールソン氏のような意見は少数派だとわかったからだ。M&M'Sの製造元、マース リグレー・ノースアメリカのコーポレート業務を率いるジェシカ・アデルマン氏は、今回のキャラクターデザインの変更は、社会からおおむね好意的に受け止められていると話す。
マース リグレーは、カールソン氏のコメントには直接反応していない。ただし、アデルマン氏は、M&M'Sのマスコットが多面的な個性を持っていることを心に留めておいてほしいと述べている。
Did my shoes really break the internet? pic.twitter.com/ZaisgZ9QYZ
— M&M'S (@mmschocolate) January 20, 2022
「彼ら(キャラクター)や彼らの住む世界を表現するものが、たった一つの形容詞である必要はない」とアデルマン氏は言う。「彼らはさまざまな個性を持っており、来年以降もコンテンツやプログラムを通じて、その進化を見てもらえるだろう」
M&M'Sが、6種類のマスコットキャラクターをより新しくモダンなデザインにしようと検討し始めたのは、1年前のことだった。アデルマン氏によると、その狙いは、M&M'Sが掲げる理念を的確に商品に反映させることにあったという。
「それにより、我々のミッションは、誰もが自分の居場所だと感じられる世界、つまり、すべての『愉快な人々(funkind)』のための世界を創り出すことだ、という考えに至った」と、アデルマン氏は振り返る。
今回の変更は「よりダイナミックで進歩的な世界」を反映するための取り組みであり、親近感とコミュニティの形成にフォーカスし、キャラクターの「性別ではなく個性」にスポットライトを当てるものだと、マース リグレーの親会社であるマースは1月20日の発表で述べている。この変更によって、グリーンとブラウンのキャラクターが履いていた女性向けの靴は刷新され、2人の関係もよりフレンドリーになった。また、オレンジのキャラクターは「本当の自分を受け入れられる」ようになり、レッドのキャラクターは「他のキャラクターに対してより優しく振る舞う」ようになる、など新たな個性が追加されている。
アデルマン氏は、個人的にとりわけ誇らしく思うのが、オレンジのキャラクターの変更だと話す。このキャラクターは「人々がメンタルヘルスやウェルビーイングについて、より本質的な対話ができるよう手助けしてくれる」という。
キャラクターたちはまた、グループの一体感をよりフィーチャーすることで、「みんなが歓迎されていると感じており、お互いに親近感を抱いていることを示している」とアデルマン氏は話す。
M&M'Sは今回の変更にあたり、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムの公式アカウントでメッセージを発信した。また、プレスリリースを発表して、ユーチューブで動画を公開したところ、この動画はすでに10万回を超える再生数を獲得している。
さらに、この一連の発表のおかげで、「MMS.comの事業においても、サイバーマンデー以降で最大級となる需要があった」とアデルマン氏は明かす。特にM&M'Sのサイトでは、同氏が関わったグリーンのキャラクターや製品への「関心が再び高まっている」という。
M&M'Sでは、変更を発表してから24時間にわたり、ソーシャルメディア上で人々とコミュニケーションをとった。グリーンのキャラクターが新しい靴に対する人々のコメントに積極的にリアクションしたところ、あるオーガニックなツイートがこれまで見たことがない数のインプレッションを獲得したと、アデルマン氏は話す。
「私たちはコミュニケーションの専門家やプロとして、リアルタイムで会話に加わるという方法でこの機会を活用し、自分たちも少しばかり楽しむことができた」とアデルマン氏は振り返る。
また、1月25日には、「M&M’Sアルバムアート」と名づけた限定商品を発売した。これは音楽にインスパイアされたコレクションで、デヴィッド・ボウイ、ロザリア、 ケイシー・マスグレイヴス、それにH.E.R.の有名なアルバムジャケットを再現したパッケージとなっており、イエロー、グリーン、ブラウンのキャラクターが登場している。これらのデザインを手がけた受賞歴のある4人のアーティストは、バックグラウンドもスタイルも異なってはいるが、音楽好きという共通点があったという。これらの限定商品は、全米の小売店やMMS.comで購入できる。
「アルバムアート・パッケージは、音楽の力によって人々を結びつけることを意図している。人々が互いの異なる点に注目するのではなく、共通点を見つけ出して、より強い親近感が喚起されるようにしている」とアデルマン氏は説明する。「この取り組みは、誰もが自分の居場所だと感じられる世界を目指す、という当社の目的と一致するものだと私たちは考えている」
このキャンペーンには、エージェンシーのウェーバー・シャンドウィックが協力している。