David Blecken
2018年5月25日

RTLアドコネクト、2強構造の緩和を目指してアジアに進出

欧州のメディア企業が、アジア企業の欧米展開を後押ししていく。

ステファン・コルブレ氏
ステファン・コルブレ氏

欧州でテレビ・ラジオ放送とデジタルメディア事業に従事するRTLアドコネクト(RTL AdConnect)が、日本と中国を足がかりにアジアへとサービスを拡大する計画だ。これまでの現地代理店を介した事業を、独自展開へと変更していく。

同社はルクセンブルグに拠点を置くRTLグループの一員。広告主はRTLの数多くのプラットフォームを通じ、1.6億人もの消費者にアクセスが可能だという。RTLグループは欧州域内12カ国で事業を行っている。

RTLアドコネクトのマネージングディレクター、ステファン・コルブレ氏によると、アジア太平洋地域の企業の欧米市場での成長を支援する機会を見出してのこと。現時点で対象としているのはブリヂストン、ハイアール(海尔)、ファーウェイ(華為)、レノボなどで、同社は協業できる新興ブランドを今後さらに探していく考えだ。

「釣りは魚がいるところでするべきなのと同様に、成功しそうな機会をとらえ、そこで行動することが必要」とコルブレ氏。「アジアの企業に情報や見識、そして彼らが必要とするあらゆるものを提供し、欧州市場にアクセスしやすい環境を提供するのです。今後成長が望めるブランドを見出し、彼らの成長を助ける存在として我々を認識してもらいたいのです」

RTLは従来型メディアへのアクセス提供のみならず、デジタル分野でも活発だ。インフルエンサーを活用したキャンペーンや、プリロール広告(動画本編の開始前に挿入される広告)の作成、可能な市場においてはプロダクトプレイスメント(動画内に商品を登場させる手法)の支援も可能だという。

RTLは近年、デジタル分野の拡充を買収によって進めており、同氏によれば、これはグーグルとフェイスブック2社による「複占」の構造を変えていくためとのこと。2社とはパートナー関係を維持しつつも、独占状態を緩和する努力が必要だという。

ユーチューブは同社のインベントリの一部ではあるが、「やみくもにバルク買いをせず」にどこでコンテンツが流されるのかを確認し、ばらばらに断片化した欧州のメディア市場で広告主が成果を出せるようナビゲートすることで、ブランドセーフティを保障する。クライアントの本拠地であるアジアに拠点を構えることで、欧米市場でのローカライズに一貫性を持たせることが可能だという。

また同氏は、世界広告主連盟(WFA)が先週発表したグローバルメディア憲章によって、メディア環境の混乱が落ち着くのではないかとも期待している。「この業界は正しい方向に向かっていると思います。私たちが接してきたブランドは困惑しており、道を見失っていることも。そして、簡単に買えるメディアに向かってしまうのです。このような状態を、私たちは変えなくてはなりません」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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