Campaignでは先週、車の所有に関する人々の意識に変化が見られること、すなわち車を所有したいと思う人が減り続けていることについて、トヨタがどのような対応をしているかをレポートした。それは自動車メーカーからいわゆる「モビリティカンパニー」に変化するという、根本からのブランド再構築だ。このメッセージを伝えるために、トヨタは初めてグローバル規模でのキャンペーンを展開した。
サーチ&サーチと電通が協働するこの企画の第一弾は、2分間のショートフィルム。不可能と思えたことの実現を、さまざまな移動手段を実生活に導入することによって後押しする様子や、異なる年齢層の人々の挑戦が描かれている。
動画にはスポーツや、特に障害者アスリートが登場しており、トヨタがワールドワイドオリンピック・パラリンピックパートナーであることが強調されている。リハビリ時の移動を助けるロボットなどといった、コンセプチュアルな技術も動画内で紹介し、「移動は人間の権利」であると主張する。
トヨタは2020年東京五輪に向けて、自動運転、燃料電池バス、新しいタクシーなどを提唱している。
撮影は5カ国で行われ、編集には736時間を要した。
Campaignの視点:
障害者にとって自動車は、単に場所を移動するための手段というだけではなく、人生そのものを変え得るものだ。トヨタなどの企業が提供する新技術についても、同様のことがいえる。
その意味で、今回トヨタが発したメッセージには大きな意味がある。車そのものではなく移動手段に焦点を当てることで、トヨタはビジネスと社会性の両方の観点において着実に前進している。人々の生活向上に多様なソリューションを提供しているのは、無論トヨタだけではない。だが、自動車産業における新時代のリーダーとして同社をポジショニングする上で、今回の動画は効果的だろう。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)