従業員の8割を削減し、不愉快な人たちを復帰させ、世界的に知られた社名をXに変えたにもかかわらず、かつてツイッターの名で知られていたこの会社は、相変わらず多くの人々を惹きつけ続けている。そして今も、フェイスブックやユーチューブほどではないが、他のどこよりも多くの人が集まっている。
そのため、広告業界の多くの人々は、広告主になることができるだけ不快になるように、同社が全力を尽くしているように見えることに驚いている。実際、これらの混乱のおかげで、広告収入は10月以来50%も減少している。
広告のベテランのリンダ・ヤッカリーノ氏をCEOに起用したのは、同社が広告の課題に取り組もうとしているためだと言う人が多いが、実は、これまでツイッターの広告ビジネスはうまく機能したことがほとんどない。
10年以上も試行錯誤を繰り返してきたのだから、そろそろ別の道を考え始めるのは正しいことなのかもしれない。
ヤカリーノ氏によれば、この別の道とは、Xを「オーディオ、ビデオ、メッセージングからペイメント、バンキングまで、つまり、あらゆる意見、商品、サービス、取引機会を網羅したグローバルマーケットを創造する」、「全能」のアプリに変えることにあるようだ。
多くの識者は、この壮大なビジョンを絵空事だと感じている。例えばXは、警察の手を借りなければ、サンフランシスコの本社ビルから鳥のロゴを消すことさえできなかったと指摘する。
しかし同時に、少し視点を変えれば、ある種の控えめな謙虚さも感じられる。マスク氏はXを、他の誰もが失敗した広告の巨大企業にしようとしているのではない。その代わりに、彼はその教訓を胸に刻み、新しいことに挑戦しようとしているのだ。
ツイッターを買収して以来、マスク氏は次々に炎上騒ぎを起こしただけだというのが一般的な意見のようだ。しかし、次の2つの事実がそれに反論している。
第一に、9カ月連続の大混乱にもかかわらず、ユーザーが一斉にツイッターを離れたというわけではない。ユーザーは減少しているが、シミラーウェブ(SimilarWeb)によると、ツイッターのウェブサイトは依然としてトラフィックで世界第5位にランクされているという。
第二に、マスク氏の物議を醸した経営スタイルと大量解雇は業界内で称賛を浴びている。メタのマーク・ザッカーバーグ氏を含む、他の企業幹部たちもこれに倣い、ツイッターの一時解雇は「業界にとって良いことだ」とさえ述べている。これは、マスク氏から金網マッチの挑戦を受けていると噂される人物(ザッカーバーグ氏)の言葉だ。
何もXが必ず成功すると言っているわけではない。しかし、数々の悲惨な予測にもかかわらず、マスク氏の行動はまだ会社を破綻させていない。Xは、一般人が日常的に利用しているだけでなく、ジャーナリスト、学者、政治家たちもニュースを発信し、深刻な問題について語る公共の場であり続けている。
ただし、Xは広告をまだ完全に捨て去ることはできない。同社は最近、トップ・コンテンツ・クリエイターに対して、彼らの投稿から得られた広告収入の一部を還元するプログラムを発表した。還元するには、誰かに広告を買ってもらわなければならないはずだ -- 言うまでもなく、会社の明かりを灯し続けるためにも。
しかし長期的な視野に立てば、Xの野望は明らかに新たな収入源に向かっている。だが、青いチェックマークを売ること以外で、これらがどれくらいのスピードで実現できるのか、また具体的にどのようなものになるのかは、まだ不明だ。
マスク氏が、ペイパル、テスラ、スペースXで成功を収めていることで、Xに関する潜在的なリスクが見えにくくなったという意見もある。しかしこれは、裏を返せば、多くの人が考えているほど、Xの失敗は避けられない結論ではないということだ。
テスラは依然として世界で最も価値のある自動車会社だ。そして、ニューヨーク・タイムズ紙の最近の記事は、スペースXを通じて、マスク氏は「宇宙で最も支配的なプレーヤーになった」と伝えている。
最後に最も注目すべきは、Xを取り巻くあらゆるドラマと注目の中で、イーロン・マスク氏が、心から人生を楽しんでいるように見えることだ。つまり、それがすべてを物語っているのではないだろうか?
ピーター・エプスタイン氏はシルバートライアングルのCEO。