ヘルスケアに特化した広告会社であるCDM(オムニコム・ヘルス・グループの傘下)が、同グループのフライシュマン・ヒラードと合弁会社「CDM東京」を設立した。CDMにとって、初のアジア進出となる。
CDM東京が目指すのは、グローバルクライアントへのサービスに加え、日本の製薬会社や医療機器メーカー、健康関連に携わる企業団体が、海外の業界団体や医療従事者、患者たちに向けて行うコミュニケーション活動のサポートだ。
CDM東京の発足と同時に、フライシュマン・ヒラード・ジャパンはヘルスケア専門のPR部門を設立。同部門とCDM東京は、晴海にあるフライシュマン・ヒラード・ジャパン内にオフィスを共用する。
「日本は世界で2番目のヘルスケア市場です」と、フライシュマン・ヒラード・ジャパン代表取締役社長の田中慎一氏はCampaignの取材に語る。「新薬承認の期間短縮を目指す政策や、高齢化社会といった環境が、医薬品のみならず医療機器分野においてイノベーションを促進しています」
「世界の製薬メーカーのトップ25社のうち、4社が日本に本社を構えています」と語るのは、CDM東京のマネージングディレクター、アダム・ワイス氏だ。「日本はローカルな市場だと考えられてきましたが、最近では世界のハブの一つとなりつつあります。五輪が開催される2020年に向けて国全体に弾みがつき、マーケットも前向きな機運が高まっています。その結果として、日本のブランドのグローバリゼーションが加速するのではないかと考えています」
CDMのCEOカイル・バリッシュ氏は、「例えば疾病啓発をする際に、広告とPRの区別は便宜的なものにすぎない」と話す。この二つが統合されてこそ、クライアントにとって意味のあるものになるという。「課題解決に必要なのは広告的な手法なのか、あるいはPR的な手法なのかを判断するのは、クライアントにとって難しいこと。広告とPRの両方の機能を併せ持つ我々は、クライアントの課題を革新的な手法で解決し、いくつものチャンスをつかんでいけるのではと思います」
これまで外資系の広告会社が、国内ブランドにそれほど入り込めていなかったことをワイス氏は認めるが、その一方で、国内の広告会社も海外での経験が少ないと指摘。「いつかこのギャップを埋めねばなりません」と話す。CDMはヘルスケア領域のハブで培った経験とノウハウを生かし、世界進出を目指す日本企業に貢献できると考えている。「これは今まで満たされてこなかった、大きなニーズなのです」
(マシュー・ミラー 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)