オムニコム・メディア・グループ(OMG)は、グーグルに特化したマーケティングコンサルタント企業、TRKKNを新たに9カ国に展開し、年内にはさらなる拡大も予定している。ブランドがグーグル製品への依存度を高めている現状を見据えての動きだ。
事業拡大を前に、同社はトラッケン(Trakken)からTRKKNへとリブランディングした。
この2カ月前、TRKKNの創業者たちは「新章の幕開けのため」だとして、同社を去っていた。
TRKKNは2008年、グーグルの元従業員、レナート・ポールセン氏とティモ・アデン氏により、ドイツのハンブルクで設立された。2015年、OMGが同社を買収したが、買収金額は公表されなかった。
その後、グーグルリセラーである同社はサービスを拡充し、ウェブ分析やコンバージョン最適化といったサービスを通じて、広告主のグーグルでのマーケティングとクラウド資産の管理を支援してきた。TRKKNは、グーグルマーケティングプラットフォームにとって欧州で2番目に大きなセールスパートナーだ。
現在欧州5カ国で事業を展開している同社は、足場を大きく広げようとしている。
OMGの計画では、6月末時点から8週間以内に、オーストラリア、デンマーク、ニュージーランド、オランダ、ポルトガル、シンガポール、トルコ、英国、UAE(アラブ首長国連邦)、米国にTRKKNの支社が設立される予定だ。
拡大計画の第2弾も2022年末に予定されており、アジア、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、ラテンアメリカといった新たな市場に進出すると見られている。
しかし、この動きを率いているのは創業者たちではない。ポールセン氏とアデン氏はいずれも2022年4月末に同社を去った。アデン氏はリンクトインへの投稿で次のように述べている。「これまで素晴らしい成功に満ちた時を何年も過ごしてきたが、我々はこの章を閉じ、ビジネスを新たな経営陣に引き継ぐことに決めた」
TRKKNの新たなウェブサイトによれば、現在、同社を率いるのは、マックス・デイトマー氏とピーター・クールマン氏だ。両氏は2021年にマネージングディレクターとして同社に加わった。
デイトマー氏はEMEA地域を統括する。APAC(アジア太平洋)地域および中東地域を担当する責任者は、第3四半期に指名される見込みだ。
北米支社のトップには、かつてジェリーフィッシュ(Jellyfish)のプログラマティック責任者だったマリオ・シアッパカッセ氏が就任した。
グローバル展開の全体を統括するのは、OMGドイツのCEO、ポール・レミッツ氏だ。
OMGのCEO、フロリアン・アダムスキ氏は、TRKKNの事業拡大について、「ブランドとグーグルとの関係における規模と分野の拡大、そしてエージェンシーとクライアントとの関わり方の変化」を反映したものだと語る。
「クライアントはグーグルのマーケティングスタックの管理に、かつてないほどの支援を必要としているが、同時に多くのクライアントは内製化やハイブリッドメディアソリューションの採用によって独立性を高めつつある。我々の課題は、この両方の現状に対処することであり、それには、グーグルのマーケティングプラットフォームとクラウドプラットフォームを効率的かつ効果的に運用するグローバルベストプラクティスを確立し、エージェンシーとクライアントの関係性が流動的である現在、こうしたソリューションを円滑に利用できることが重要だと考えている」と、同氏は述べた。
アダムスキ氏は、OMGドイツのCEO在職中、当時のトラッケンの買収を指揮していた。