Mariah Cooper
2021年11月05日

クリエイターエコノミー:クリエイターが消費者から直接対価を得る時代

米国における調査で、ブランドがクリエイターエコノミーに参加することへの新たな可能性が見えてきた。

クリエイターエコノミー:クリエイターが消費者から直接対価を得る時代

ブランドだけが消費者にマーケティングできる時代は終わった。今やクリエイターも、カメラとマイクと編集ソフトを手に、自身が情熱を注ぐジャンルのコンテンツを制作し、人々と確かなつながりを築き、忠実なファン層を育むことができる。

タレント、エンターテインメント、スポーツエージェンシーの、UTA(United Talent Agency)は10月20日、「Creators & The New Frontier of Consumer Engagement(クリエイターと消費者エンゲージメントの新たなフロンティア)」と題した調査結果を発表し、ファンとクリエイターのあいだに、高いレベルのエンゲージメントがあることを示した。

調査には1000人以上が回答した。このうちバーチャル・ミート&グリート、ファンクラブ会費、ビデオ・シャウトアウトといった形で、クリエイターに直接対価を支払ったことがある人は。40%(米国の消費者全体に換算すると約6500万人)にも上った。そして、クリエイターに直接お金を費やす人の49%は、月に25ドル(約2850円)以上を使っていた。市場規模は100億ドル(約1兆1390億円)近くに達し、将来的には180億ドル(約2兆500億円)に達する見込みだ。

クリエイターを直接支援する消費者は、Z世代とミレニアル世代が72%を占め、男女比はほぼ半々だった(男性51%、女性48%)。

消費者がクリエイターに直接対価を支払う理由としては、独占性(71%)、インスピレーション(69%)、アクセス(66%)、コミュニティ(51%)といったものが挙げられる。

UTAでマーケティング部門の共同責任者を務めるデビッド・アンダーソン氏はCampaign USの取材に対し、「人々は、クリエイターのコンテンツを消費するだけでなく、それにエンゲージするという一貫したフィードバックループが見られる」と述べ、「人々はかつてないほど積極的にそれに関わるようになっている。また、クリエイターとのつながりや(クリエイターからの)レスポンスを目にすることで、消費者はコンテンツ制作に費用がかかることや、クリエイターがその創作物で生計を立てていることに、ますます敬意を払うようになるようだ」と説明した。

同じくUTAマーケティング部門の共同責任者であるジュリアン・ジェイコブズ氏は、パンデミックが、消費者がクリエイターを直接支援する動きに拍車をかけたことや、テクノロジーが1対1の関係の構築を可能にしたことなども指摘した。

一方、ブランドにもクリエイターエコノミーに参画するチャンスは十分にあり、ファンもそれを歓迎している。事実、消費者の95%は、クリエイターエコノミーへのブランドの参入にオープンだ。

調査では、2人に1人がクリエイターと関わるブランドのことを覚えている可能性が高いと回答し、また同じく2人に1人はそのようなブランドに好意的な印象を持っていた。何より重要なのは、3人に1人が、こうしたブランドについて、購入あるいは利用する可能性が高いと回答したことだ。

「テレビ番組中心に広告を出していて、ブランドをその番組に溶け込ませたいと考えているなら、単に広告営業チームと話すだけでは不十分だ。番組に関わる原作者や出演者、脚本家などとも話をすべきだ」と、アンダーソン氏は言う。

さらに「クライアントが同席し、制作ビジョンを直接共有する機会があれば、そこから生み出されるストーリーは、両社の間に介在する数多くの仲介者によって生み出されるものとは対照的に、はるかに説得力があり、真正さを持つものになるだろう」と、同氏は語った。

現在、消費者からもっとも直接支援を受けているクリエイターは、ミュージシャンとゲーマーだ。その2つのジャンルでは、回答者の63%がコンテンツの対価を、複数のクリエイターに支払っていた。だが今後、状況は変化するだろうと、ジェイコブズ氏は言う。

「ゲーマーは、クリエイターとしての自身のキャラクターの一部としてソーシャルプラットフォームを活用してきた。またミュージシャンは、(パンデミックの制限で)ファンとの1対1の関係を築くことを余儀なくされた。だが、パンデミックが終息するにつれ、ミュージシャンやゲーマー以外の、より一般的なエンテンターテインメントクリエイターも数多く目にするようになってくるだろう」

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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