Staff Reporters
2023年1月06日

クリエイティブマインド:デジタル世界を生きるアナログ派~多木裕晶(BBDOジャパン)

BBDOジャパンのアソシエイトプランニングディレクター兼クリエイティブプランナーが、亡くなった祖父母をディナーに招待したい理由や、コンピューターを使った音楽作りについて語った。いつか自分の音楽を広告に使いたいという思いもあるという。

クリエイティブマインド:デジタル世界を生きるアナログ派~多木裕晶(BBDOジャパン)

クリエイティブマインド」は、APAC(アジア太平洋地域) のクリエイターに、軽い内容から真面目な内容までさまざまな質問を投げかけ、その中から11の質問を選んで回答してもらうインタビューシリーズだ(質問の数を11にした理由は特にない)。あなたが聞きたかった質問は、果たして含まれているだろうか

氏名:多木裕晶(たき ひろあき)
出身地:東京
住所/勤務地:東京
性別:男性

略歴:
BBDOジャパン(アソシエイトプランニングディレクター兼クリエイティブプランナー)、2021年~現在
BBDOジャパン(アソシエイトプランニングディレクター)、2020年~2021年
BBDOジャパン(シニアプランナー)、2018年~2019年
グレイグループ東京支社(デジタルプロデューサー兼デジタルプランナー)、2017年~2018年
メディアウェイブ(プロデューサー)、2015年~2017年
サイバーエージェント(プランナー、チーフアカウントプランナー、コンサルタント)、2012年~2015年

1. クリエイターになったきっかけは?

子供の頃、父が小さな広告代理店を経営していたことが、広告業界でのキャリアを考えるようになったきっかけです。学生時代は、皆が喜んでくれそうなものを作っていました。イベントを企画したり、スマートフォンのアプリを作ったり、笑える動画やミームを作ったりして、皆の反応を楽しんでいました。自分の作品で皆を喜ばせたい、笑顔にしたいという思いは今も続いていて、それが私の原動力となっているのです。

2. 自身のポートフォリオでお気に入りの作品は?

かつて、日本ではラジオ体操が最もポピュラーな運動の一つでした。しかし、その振り付けや音楽は時代遅れで、若い人たちからはもうほとんど忘れられています。今回のキャンペーンでは、ラジオ体操とJBL製品のサウンドを組み合わせるという今までにない仕掛けを取り入れ、「ブレイキンラジオ体操」と名付けた作品を制作しました。オリンピック種目への採用が決まって近年注目を集めているブレイキンを、ラジオ体操と融合させたのです。

このキャンペーンでは、世界的ブレイクダンサーのShigekix氏(半井重幸氏)など、数人の有名なダンサーに登場してもらいました。最初は昔ながらのラジオ体操をしていたダンサーたちが、JBLのスピーカーから流れる軽快な音楽とナレーターの容赦ない指示に合わせて、徐々に華麗でダイナミックなダンスを披露していくという内容です。動画の公開から数日後には、TikTokでも真似をする人が出てくるなど、広く人気を集めました。また、テレビの全国放送でもこのキャンペーンが取り上げられました。

3. 他の人が作った作品でお気に入りのものは?

魅力的なクリエイティブはたくさんありますが、1つだけ選ぶとすれば、ディーゼル(DIESEL)の「BE A FOLLOWER(フォロワーになろう)」キャンペーンでしょうか。

この広告はインフルエンサーの日常を取り上げたもので、行き過ぎたデジタルカルチャーやインフルエンサーマーケティングの現状を皮肉っているところがとても気に入っています。ユーモラスでスタイリッシュなこの作品の素晴らしいところは、インフルエンサーの現実が、SNSのフィード上ほど華やかではないかもしれないということに気づかせてくれることです。アパレルブランドは、販促やプロモーションのためにインフルエンサーとの親密な関係を保ちたいはずなのに、このような作品を発表したディーゼルはすごく勇気があると思いますね。

4. 死ぬまでにやっておきたいことは?

私の好きなことは、コンピューターで音楽を作ることです。いつか、自分の曲を本物の歌手に歌ってもらったり、広告で使ったりできればと考えています。

5. 一緒にディナーに行ってみたい人は(故人も含めて)?

もしできるのなら、父方と母方の祖父母と、もう一度食事に出かけて、亡くなる前に会わせる機会がなかった自分の妻を紹介したいですね。

6. アナログ派?それともデジタル派?

身の回りのことはほとんどデジタルで完結していますが、友人関係やクリエイティブのアイデアのブレインストーミングに関しては、アナログの方が好きです。ブレインストーミングには良い雰囲気やペースが大切ですが、今の最新技術をもってしても、完全に同期を揃えることはできないと思っているので、私は断然アナログ派です。パンデミックのときはリモート飲み会が流行りましたが、やはり友人と直接会って飲むことに勝るものはありません。

7. プレッシャーがかかっているときと余裕があるときとでは、どちらが得意?

余裕があるときの方がうまくいくタイプですが、今どきそんな贅沢が許される人はいないでしょう。

8. 10歳の自分にアドバイスするとしたら?

若い頃の自分に言いたいのは、世の中には何一つ正解はなく、最終的にはすべてが何とかなるということです。自分がどこにたどり着こうとも、自分の好きなことに取り組み、自分の進むべき道を選び、自分の目標を追い続けることです。そうすることで初めて何かを成し遂げられるのです。

9. 仕事仲間からはどのような人だと言われる?

マルチな人間だと言われます。私は多面的で多層的な人間なのです。プロジェクトによっては、クリエイティブと戦略プランニングの両方に携わっています。ときにはその両方を監督することもありますし、アカウント、メディア、テクノロジーの分野での経験もあります。

10. 理想の1日の過ごし方は?

妻や友人とキャンプに出かけるのがいちばん理想的です。昼間は、外で遊んだり絵を描いたりするでしょうね。夜は、得意な料理を作って、皆でたき火を囲んでそれを食べながら、音楽を聴いたり楽しく酒を飲んだりしたいです。

11. この1年で最も気に入った音楽や映画と、その理由は?

今年になって、2013年のフランス映画「アデル、ブルーは熱い色」を観ました。この美しくも強烈な作品は、自分探しの長い旅をする10代の若者を描いたものです。3時間近い上映時間なのに、それが長く感じられないほどインパクトのある映画でした。特に素晴らしいのは、この映画のカメラ割りで、人間の感情をはっきりと明確に伝えてくれます。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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