スタグウェルがADK GLOBALを買収

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スタグウェル（Stagwell）が、ADKホールディングスの海外マーケティング事業部門であるADK GLOBALの株式を取得する意向を発表した。

ADK GLOBALは日本を除く10の市場にオフィスを構え、ブランディングやクリエイティブ開発、メディアプランニング、デジタルマーケティングなどの専門性を持ち、各地のローカル市場の特性や消費者への深い理解に基づく統合マーケティングソリューションを提供している。一方、親会社であるADKホールディングスは日本市場を中心に、広告、コンテンツ制作、メディアプランニングなどADKグループの幅広い事業を統括している。

今回の買収にADKホールディングスは含まれず、独自性を保って日本市場にフォーカスした営業を継続するが、スタグウェルを通じてADK GLOBALとの連携を維持し、サポートしていく。

スタグウェルは2024年にグローバル展開戦略の一環として、中東・北アフリカ地域のクリエイト・グループ（Create.Group）、ドイツのユニセプタ（Unicepta）、イスラエルのリーダース（Leaders）、米国のチーム・エピファニー（Team Epiphany）など11件の買収を行っており、アジア太平洋地域（APAC）での買収はADK GLOBALが初となる。ADK GLOBALが加わることで豪州、バングラデシュ、中国、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、ベトナム、タイのローカルスタッフ数（ローカルエージェンシー、関係会社を含む）は2000人以上になる。グローバルクライアントにはLG、上海ディズニーランド、グーグル（Google）、デクスコム（Dexcom）、アディダス（Adidas）などがあり、最近はスタグウェル傘下のアノマリー（Anomaly）がスターバックス（Starbucks）を、72アンドサニー（72andSunny）がパネラ（Panera）を獲得。2024年10月時点ではアドビ（Adobe）のグローバルクリエイティブおよびソーシャルコンテンツも担っていた。

スタグウェルのチェアマン兼CEOであるマーク・ペン氏はCampaignのインタビューに応じ、買収は当局や自治体の承認取得を待って60～90日以内に完了予定だと語った。買収の目的はサービスの価値を薄めることでなく、両組織の顧客ポートフォリオや市場進出戦略（GTM）の連携促進に重点を置いているとペン氏は述べ、買収にかかる期間、そして買収後もADK GLOBALブランドは存続させる予定だ。

「当社の観点からは、今回の買収によりスタグウェルのグローバルフットプリントが完成し、顧客サービスを向上させることができます。既に中国とシンガポールにはオフィスがありますが、当社のリーチが大幅に拡大し、ネットワークやAPACでのケイパビリティーの価値を飛躍的に高めます。（ADK GLOBALは）独立したブランドとして存続し、主にアセンブリー（Assembly）ネットワークと連携します。クライアントのADK GLOBALブランドに対する知名度や親近感を鑑み、この点については大きな変化はありません。ADK GLOBALはスタグウェルのネットワークの一部となりますが、当社に加わるブランドの核心部分は常に維持しています」。

「常に機会を伺っている」と言うペン氏によると、他のパートナーについて検討してきたが、ADK GLOBAL買収の交渉は1年以上前から始まっていたという。

スタグウェルにADK Globalが加わることで、AIと分析によるデジタルトランスフォーメーション、クリエイティブおよびコンテンツのサービス、パフォーマンスマーケティング、データ主導型のインサイト、PRおよびコミュニケーション戦略などの機能が補完されることになる。スタグウェルのAPACでのネットワークにはアセンブリー、アリソン＋パートナーズ（Allison+Partners）、フォースマン&ボーデンフォース（Forsman & Bodenfors）、コード・アンド・セオリー（Code and Theory）などのエージェンシーがある。

ADK GLOBALの経営陣は買収後もそのまま残るが、業務についてはスタグウェルのグローバルメディアエージェンシーであるアセンブリーの管理下に移る予定だ。アセンブリーはデータ主導型のメディア戦略やパフォーマンスマーケティング、プログラマティックソリューションを専門としている。地域内での統合についてはAPACのマネージングディレクターであるランディ・デュアックス氏が、シンガポールにある地域本部から指揮を執る。

既存の経営体制について、ペン氏は次のように語った。「ADK GLOBAL の CEO である片木康行氏は素晴らしい仕事をしており、会社を深く理解しています。これは事業を大きな混乱なく、順調に軌道に乗せる上で不可欠です。今回の買収は再編でなく拡大、つまりAPACでの当社のケイパビリティーを強化するために、新たなネットワークを追加することにあります。よりグローバルな展開を求める当社の顧客と、ADK GLOBALの強固な日本の顧客基盤とを融合させ、スタグウェルの名前とネットワークの成長と強化を目指しています」。

ADK GLOBALの片木康行CEO

買収によって注力するのはコスト効率の向上よりも、データやアナリティクスのクロスチャネルでの価値を高めるためアセンブリーのネットワークに統合すること、CEOや組織を維持すること、バックオフィス業務を米国基準に合わせること、そしてアセンブリーの幅広いパフォーマンスネットワーク内でのコラボレーションを促進することだとペン氏は強調する。

「コンセプトは明確で、協調的なネットワークを迎え入れることで、APACでの存在感を高めるためのプロセスが大幅に簡素化されます。すると、顧客や業務の基盤を活用して、より効果的にサービスを提供できるようになります。既に1400 ～ 1500 人のスタッフが配置されています。これはAPAC市場へのシームレスな拡張で、ADK GLOBALとスタグウェルの双方にとってメリットがあります」。

ADKホールディングスの代表取締役社長 グループCEOである大山俊哉氏は声明で「スタグウェルのグローバルネットワークとデジタルベースのフルサービスを活用し、ADKグループの知見や人材と一体化することで、海外マーケティング事業を展開する日系クライアントを中心としたクライアント企業に対してより最適なソリューションを提供できるようになります」とコメント。「一方で、アニメやIPなどのコンテンツビジネスにおいては、ADKグループとして『ファングロース戦略』を推進し、新たに体制を強化することで、海外事業のさらなる強化を目指してまいります」。