David Blecken
2016年12月07日

ドミノ・ピザ、トナカイデリバリー計画断念でも反響は上々

ピザチェーンの奇抜なアイデアは話題を呼び、なかなか得がたい露出度を獲得した。

難航するトナカイトレーニング
難航するトナカイトレーニング

ドミノ・ピザは、先ごろ発表した厳寒の北海道でのトナカイによるピザ配達計画を、案の定中止した。

トナカイはどうやら思った以上に頑固で、トレーニングに手を焼いたようだ。同社のリリースでは、配達先の家の前を通過して道路がない場所を進んでしまったり、トナカイの背中に載せたデリバリー用ボックスの中でピザがひっくり返ったりと、「トナカイの制御が難しい」ことが実施見送りの理由だとしている。代わりに同社は、トナカイ仕様の「トナ改バイク」を一部店舗に導入すると発表した。

もちろんドミノ・ピザが本気でトナカイを使うとは思われていなかったが、同社はトナカイデリバリー計画の発表当時、そのような素振りはまったく見せず、真剣そのものだった。いずれにせよ、モメンタム ジャパンが関与したこの企画は、人々を大いに楽しませた。そしてピザと、最も重要なことにドミノ・ピザというブランドの、面白さを訴求することに成功した。

都内の独立系エージェンシー、イート・クリエイティブの創業者兼ディレクターであるスティーブ・マーチン氏は、このプロモーションを第三者の視点から次のように評価している。「発想はいいですね。うまくいくはずのない取り組みを、表面上は真面目にやっています。『もっとこうした方がいい』とか『グリーンランドからプロのトレーナーを呼んだらどうか』など、社内でも話題になりました。これほど話題になるような露出は非常に得がたいものです。ブランドに対しても肯定的なイメージが形成されると思います」

こうした「おふざけ」も、定着すればドミノ・ピザの差別化要因になり得るとマーティン氏は言う。「来年また新たなテクニックでトナカイデリバリーにチャレンジしてほしいですね。もちろん何度やっても失敗するでしょうが、『今年は何をするのだろう?』と期待させる、恒例行事になるかもしれません」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

15 時間前

世界マーケティング短信:米司法省がグーグルにChrome売却などを要求

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

トランプ再選 テック業界への影響

トランプ新大統領はどのような政策を打ち出すのか。テック企業や広告業界、アジア太平洋地域への影響を考える。

2 日前

誰も教えてくれない、若手クリエイターの人生

競争の激しいエージェンシーの若手クリエイターとして働く著者はこの匿名記事で、ハードワークと挫折、厳しい教訓に満ちた1年を赤裸々に記す。

2024年11月15日

世界マーケティング短信:化石燃料企業との取引がリスクに

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。