ハバス・ジャパンは、グーグルに勤務していた三石バンデラス竜二氏をマネージングディレクターに任命した。
7年半にわたってハバス・ジャパンCEOを務めていたスティーヴン・コックス氏は、北アジア地域担当バイスチェアマン及びチーフインテグレーションオフィサーに昇格する。
バンデラス氏は2014年、ビーコンコミュニケーションズからグーグルに転職。最近までクリエイティブ部門の責任者を務めていた。ハバスでどの分野に注力していくかとの問いには、「まだ正式に就任していない」ことを理由に回答を避けた。新体制は来週から発足する。
同氏は、「グーグルの持つクリエティビティーの文化をハバスに導入したい」と語る。「ハバスは比較的小さい組織なので、実験的アプローチが可能です」。
ハバスに魅力を感じた理由の1つとして、ユニバーサルミュージックなどのメディア・エンターテインメント企業を所有するヴィヴェンディグループに買収されたことを挙げる。「両社が協働することで、エージェンシーに新たな可能性が開ける」。
コックス氏は、日本・韓国市場でヴィヴェンディとハバスの事業の統合に専念する。また、「日本のイノベーションを他市場に展開するチャンス」とも。ヴィヴェンディの特徴を生かし、「広告に対する考え方を『メッセージの配信』から『エンターテインメントの手法』へと変えていきます」。
「広告とは消費者にリーチし、創造的刺激を与えること。日本には、ケーススタディとなる新たな分野を築く条件が揃っている」とコックス氏。
ハバスの日本におけるクライアントは、エールフランスや仏酒造大手ペルノ・リカール、プジョーやシトロエンを傘下に収めるグループPSAなど。日本企業との長期契約は今のところないが、アジア太平洋市場拡大担当役員で北アジア担当チェアマン及びCEOのレベント・グエネス氏は「国際的ブランドかどうかではなく、地域に根付いたブランドに注力していく」と語る。
ハバスも他の外資系エージェンシー同様、日本での存在感は小さい(社員は42名)。それでも日本には、「その経済規模に見合う多くのビジネスチャンスがある」とグエネス氏。ヴィヴェンディとの協働で新たなブランドとの接点も増え、「以前は我々に興味を持たなかったブランドが関心を持ってくれるようになりました」。
新体制が日本のハバス・メディアや韓国・ハバスの日常業務に影響を及ぼすことはないという。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:水野龍哉)