2020年初頭、新型コロナウイルスは、グローバル規模で私たちのビジネス全体、また家庭や地域社会にも、次から次へと危機をもたらしました。しかし、ここで物事が再び改善へと向かい、願わくば新たな時代がはじまろうとする中、忘れてはならないことがあります。パンデミックから希望の兆しを見出すことは難しくても、ビジネスリーダーとして、ここで得た教訓を次の「新たな常識」に生かすことはできるでしょう。
アドテク企業CEOからの大切な教訓と3つの要点をまとめてみました。これらはすべて、過去1年半の実体験から学んだものです。
計画性を持ち、保守的になりすぎないこと
まずは、パニックを起こした状態でリーダーシップを執らないことが大切です。ほぼ警告なしに世界的災難に見舞われると、瞬時に条件反射的な反応をしてしまうことは容易に理解できます。しかし、強力なリーダーシップには忍耐と計画性が不可欠であり、それは大きな危機に見舞われた時にこそ、とりわけ重要です。入手可能な情報をできる限り精査し、処理するとともに、アクションを起こす前に、想定外の結果を推測することに最善を尽くしましょう。
過去1年半の間、状況はしばしば急激に変化しました。当初は多くの企業がパニックを起こし、衝動的かつ攻撃的な行動を取り、すぐに後悔した事例もあります。当社では、パンデミックでもたらされた目の前の問題の先に目を向けるようチームに呼びかけ、不安のあまり気力を失わないこと、迅速に対応できる状態を保つこと、同時によく考え、無謀な決定を避けることの必要性と、これらのバランス感覚を保つように呼びかけました。また、自分たちの直感だけに頼るのではなく、十分に情報を得るためにデータを積極的に取り入れました。当社では、それは消費者動向に生じる小さな変化をリアルタイムでモニタリングし、それに合わせて少しずつ調整を加えることを行いました。調査結果は、毎週行われるタウンホールミーティングでの対話や、パートナーへのニュースレターによる情報更新を介して社内外で共有し、当社がパンデミックにあっても柔軟に対応することができることを、自分たちで(そしてパートナーも)再確認することができました。一貫性と説明責任を保つことが、私たちの対応でした。
当時も今も、期待は以前より高いものです。しかし、実際多くの問題は、初期段階で悲観するほどの問題ではないものです。チームと自分の計画や目標にコミットし、どんな危機的状況も、いずれ沈静化することを信じましょう。
問題を認識し、成功を称えあう
リーダーシップとは、周囲の人にインスピレーションを与えることにとどまりません。最高の成果を出すべく、スタッフが受けているプレッシャーを認識するのも重要な役割です。在宅勤務へのシフトに対する当社のチームの機敏性には感銘を受けましたが(実際一晩で我々皆なの生活が変わりました)、私たちは当社が業務展開する世界自体が大きく変化したことも認めざるを得ませんでした。それにより、今後問題に直面した時は、がむしゃらに押し切るのではなく、逐一対処をしていくこと、また、現在の生活状況を受け入れる必要があることを学びました。具体的には、時々つながらなくなる無線LANを受け入れ、ビデオ会議に登場する子どもやペットに微笑み、大小問わずに成功を称えあう、ということです。
当社では、スタッフの苦言には耳を傾け、前に突き進み続ける不屈の精神を称えるとともに、パートナー支援のために自分たちを適応させて来たように、スタッフをサポートするため全力で変化をし続けます。
今後当社では、ハイブリッド型勤務モデルを検討し、子育てや介護に携わるスタッフに寄り添ったプランを立て、スタッフのメンタルヘルス(心の健康)とウェルビーイング(心身と社会的な健康)にはより一層注意を払うなど、オフィス生活へのアプローチを適応させる方法を追及して行きます。 パンデミックにより、私たちは(非常に大変な課題でしたが)働き方を見直さざるを得ませんでした。今までの「常識」を再定義し、画期的な改善をもたらすチャンスでもあるのです。
先入観を持たない
過去1年半の間で学びがあったとすれば、それは先入観を持たない、ということでしょう。特に、この独特な状況下で新たに試みた施策から得られた新しい知識やデータがそれに当てはまります。パンデミックが発生した瞬間、それ以前に存在していたビジネス経営の常識は意味を持たなくなりました。混沌とした状況を乗り切る唯一の方法は、急いで新しいプレイブックを作成することでした。アイデアが根ざす思いがけない場所であるリーダーシップチームや社内全体から、オープンに新たな見解を取り入れました。強固な企業文化を構築することは、(特にリモート勤務の中では)各社異なった様相を呈します。しかし、最も俊敏に動き、成功を収めているグループに共通する主要な傾向の一つは、進化し、柔軟に対応する能力です。
組織を通じて、オープンで率直な文化を育むにはどうすれば良いでしょうか。まずは耳を傾け、お手本になることから始めましょう。スタッフにアンケート調査を実施し、新しいアイデアを集め、試してみましょう。そのようなフィードバックに基づき、当社ではスタッフ表彰キャンペーンから企業の社会的責任プログラムまで、数多くの取り組みを開始しました。何らかの提案に同意しない人が居た場合は、それを尊重しつつ徹底的に話し合います。その結果、原案よりもさらに強力な、自分がより打ち込めるものになったり、誰もが安心できる新しいアプローチが生まれたりもします。マイナス面はないのです。
人生と同様、私たちはビジネスにおいてもプレッシャーを受けると成長することができ、苦労して得た教訓を活かして新たなレベルへと進むことができます。卓越したリーダーは、チームと業界が熱意を抱けるビジョンを構築し、育成することができる立場にいます。これまでの挑戦を乗り切ってきた強みは、今後の挑戦を乗り超えるのに活かすことができます。世界の人々が後回しにしたいと思う問題はたくさんあります。しかし、今やトンネルの終わりには光が見えています。 私たちがこれからも堅持したいと思う要素や教訓を尊重して行けば、今後も想像が付かない未来の、原動力となるでしょう。