ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名瀧正則)が3月12日、麻薬取締法違反の容疑で逮捕された。同氏の逮捕を受けて、広告主やメディアは芸能人との距離感の再考を余儀なくされている。
瀧は、日本のテクノシーンを牽引してきた「電気グルーヴ」のメンバー。コカイン使用の容疑で、捜査当局は昨年から内偵捜査を開始していたと報じられている。逮捕後、本人は容疑を認めているという。
日本のレクリエーショナルドラッグ(快楽を得るために使う麻薬)への取り締まりは厳しく、軽度な違反にも重い刑罰が科せられる。瀧はまだ有罪判決を受けたわけではないものの、ブランド側はすでに瀧との関係を解消する動きを見せている。
住宅設備大手のLIXILは2016年より瀧をCMに起用してきたが、同氏の出演CMを全て削除し、今後の契約についても「各所に確認、調整中」だと伝えられている。
セガゲームスも、今回の件で影響を受けたブランドの一つ。プレイステーション4のゲームソフト「JUDGE EYES:死神の遺言」で瀧は暴力団組員の役で出演、声も担当していたため、同社は販売を当面の間自粛すると発表したのだ。
同氏は現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」にも出演しているが、同局は16日の再放送について、瀧の登場シーンをカットして放送すると発表。11月公開予定の映画『アナと雪の女王2』吹き替え版のオラフ役の声優として瀧を起用していたウォルト・ディズニー・ジャパンも、声優を交代することを発表した。
瀧はこれまでサントリー、吉野家、味の素、WOWOWなどの広告に出演しており、これらのブランドが出演CMを削除するかは不明。サントリーのCM・動画一覧のサムネールにはまだ画像が残っているが、動画は再生できない。2016年に公開された吉野家のCMは、同社の公式ユーチューブチャンネルの過去作品アーカイブからは消えているようだ。
薬物逮捕されイメージが失墜した有名人の復帰は、特に日本では厳しい。これまでも酒井法子(歌手)、清原和博(元プロ野球選手)らが薬物逮捕され、復帰まで長い期間を要している。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)