今年、全てのブランドの中で最も高い成長率を示したのはAirbnb(エアービーアンドビー、対前年比22%増)。自動車メーカー各社も著しく数字を伸ばす一方、インテルやフィリップスといった大手テック企業は大きくブランド価値を下げた。
ブランドの成長は明らかに鈍化している。トップ100社のブランド価値総額は昨年、対前年比16%増だったのに対し、今年は同5.7%増にとどまった。
その要因として、レポートでは成長志向の欠如やブランドのリーダーシップの弱体化、将来への不確実性の高まりなどを挙げる。
また、この結果は米国・英国経済の低迷の裏付けでもあり、レポートでは「今後1年以内の景気後退の可能性」を示唆。
ブランド価値向上の鍵は、多業種の事業展開だ。多角的に事業展開する企業のブランド価値総額は、トップ100社の総額の50%に達する。
トップ10ブランド
首位は11年連続でアップル。企業では初めてブランド価値が5000億米ドルを突破した。2位のマイクロソフトはトップ10企業の中で最も高い成長率を示し、対前年比14%。大きな要因は、Chat(チャット)GPTを開発したオープンAIへの投資だろう。
BMWも同10%の成長率を示し、初のトップ10入り。アマゾンやグーグル、サムスン、コカ・コーラ、ナイキといった主要ブランドも順当にランクインした。
急成長ブランド、トップ5
最も急成長を果たしたのはエアビーだ。ブランド価値は対前年比22%増で、昨年初めてトップ100に入ったにもかかわらず、今年はトップ50にランクイン。ポルシェやヒョンデ(現代自動車)、フェラーリといった自動車メーカーも高い成長率(それぞれ同20%、18%、16%)を示し、エアビーに続いた。これら3社の成長が大きな要因となり、自動車メーカー全体の成長率は同9%。業界別でトップとなった。
興味深いのは、ラグジュアリー業界が2番目に高い成長率(同7%)を記録したこと。世界経済の混乱で消費者の財布のヒモが堅くなっているにもかかわらず、高品質・高価格な製品への購買意欲が衰えていないことを示した。
価値が下がったブランド、ワースト5
トップ100で最もブランド価値が下がったのはバドワイザー(対前年比16%減)。インテル、フィリップスといったテック企業もそれぞれ同14%減、12%減と大幅に下げた。これら3社に続いたのがフェイスブック(同8%減)、米国の化学·電気素材メーカー3M(スリーエム、同7%減)だった
注目すべきブランドは、初のトップ100入りを果たした98位のネスプレッソ。今年、初めてトップ100に入った唯一のブランドでもある。
(文:ジョセフ・アーサー 翻訳・編集:水野龍哉)