Ryoko Tasaki
2021年10月29日

世界マーケティング短信:アップル規制強化でオンライン広告が苦戦

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

在宅勤務の恐怖をハロウィーン風に表現(BBDOシンガポール)
在宅勤務の恐怖をハロウィーン風に表現(BBDOシンガポール)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

フェイスブックとグーグルに、アップルの規制強化が与えた影響

フェイスブック社が発表した第3四半期(Q3)の決算によると、広告売上高は前年同期比33%増の283億米ドル。だが286億米ドル(同56%増)だった前期(Q2)と比べると、成長は鈍化している。その要因として、同社のシェリル・サンドバーグCOOは2点挙げた。まず、アップル社の規制強化によってターゲティング広告の精度が低くなり、広告効果を上げるためのコストが増えたこと。そして、広告の効果測定自体が困難になったことだ。「iOSの全体のウェブコンバージョンのおよそ15%が過少報告されている」と推定している旨が、ブログにも記されている。

グーグルの親会社アルファベット社も第3四半期の決算を発表し、売上高は651億米ドル(前年同期比41%増)であった。主力のグーグル広告は531億米ドル(同43%増)、そのうち検索広告が379億米ドル(同44%増)、ユーチューブ広告が72億米ドル(同43%増)。アップル社の規制強化による影響は「若干あった」と、ルース・ポラットCFOは語った。

 

IPG、パンデミック前の水準に回復

インターパブリック・グループ(IPG)の第3四半期は、総売上高が22.7億米ドル(前年同期比15.7%増)に達した。2019年第3四半期と比較しても9.7%増で、パンデミック前の水準を超えたことになる。地域別にみると、米国は14.7%増、英国13.3%増、欧州11.18%増、アジア太平洋地域17.4%増など。また、2021年の成長予測を9~10%から11%へと上方修正した。

在宅勤務を続けているため管理費は減少したものの、社員がオフィスに戻り始めたことで増えつつある。総売上高に占める人件費の割合は、65.0%(2020年Q3期)から66.8%(2021年Q3期)へと増えた他、事業の成長に伴い臨時雇用の支出も3.5%(2020年Q3期)から5.0%(2021年Q3期)へと増えている。
 

フェイスブック、社名を変更

フェイスブック社のマーク・ザッカーバーグCEOは28日(米国時間)、社名を「メタ(Meta)」に変更すると発表した。同社が巨額を投資する仮想空間「メタバース(Metaverse)」に、今後注力していく姿勢を表したものだ。

 

広告のジェンダー平等、実現するための仕組みが必要

R3社が東南アジアと香港のCM300本を分析した調査によると、広告の約半分がジェンダーのステレオタイプを有害に描いているという。ボディイメージ(30%)、ジェンダーの特徴(38%)、ジェンダー役割(44%)がネガティブに描かれ、4割強のCMで「女性の役割を家庭的で母性的なものに限定し、男性の目線から語られている」など、ジェンダー役割を助長する描写があったと同調査は指摘する。

また6割の広告会社が、DEI(多様性、公平性、包括性)をクリエイティブに反映させる正式な手順が整っていないと回答。DEIの満たすべき基準をクライアントからのブリーフで提示されたことがないという広告会社も、4割に上る。R3のプリンシパル件共同創業者、シューフェン・ゴウ氏は以下のように語る。「ストーリーテリングや制作をコントロールするためには、もっと多様なバックグラウンドを持つ人材が必要です。そうでないと、一面的なストーリーを語るというリスクを冒すことになります」

 

ジャック・レスリー会長、3月に退任

ウェーバー・シャンドウィックのジャック・レスリー会長が、来年3月に退く。2001年にBSMGワールドワイドと統合して以来、20年以上にわたって同社を率いてきた。1980年代には故エドワード・ケネディ議員の政務担当ディレクターを務めた。退任後はシニアアドバイザーとして、コーポレート・レピュテーションやソーシャル・インパクトなどのカウンセリングを行う。


ハロウィーンのおばけよりも怖いのは…?

深夜に絶え間なく届く上司からのメッセージや、ワークスペースの乱雑なケーブル――。在宅勤務が生み出した恐怖をハロウィーン風に表現したビジュアルを、BBDOシンガポールが公開した。クライアントワークではなく、同社のSNSにて公開されている。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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