※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
カンヌライオンズ 本日まで現地にて開催
カンヌライオンズ2022が本日(24日)まで現地で開催されている。23日時点での受賞数は、アジア太平洋地域全体で46点、日本は8点。これまでの受賞作品一覧はこちら(英語)。最終日にはフィルム部門やチタニアム部門など5部門が発表される。
ゼレンスキー大統領がカンヌライオンズにビデオ出演
カンヌライオンズに21日、ウクライナのゼレンスキー大統領が映像で出演し、ウクライナは「世界で最もクリエイティブな人々」の力を必要としていると述べた。「戦時中であっても、人々の魂の奥深くにまで届ける力をあなた方は持っています」。
また、「世界の関心が別のことに切り替わってしまわないよう、力を貸してほしい」とも訴える。「人間のクリエイティビティーの力は、過去にとらわれた核保有国家の力よりも大きいと信じています」。
オンライン広告に潜むバイアス、AIで特定
IBMは20日、エージェンシー、ブランド、業界リーダーなどと共にアドテクノロジーによるバイアスの問題に取り組むことをカンヌライオンズで発表した。同社の「IBMワトソン・アドバタイジング(IBM Watson Advertising)」は昨年、オンライン広告に不公平なバイアスが含まれている可能性について調査を開始し、その結果を今年1月に公開している。このたび同社が推進するイニシアチブにはデルタ航空、WPP、米広告業協会(4A’s)、米インタラクティブ広告協会(IAB)、米公共広告協会(Ad Council)も参加するという。
また、バイアスに対処するためのオープンソースのツールキット「Advertising Toolkit for AI Fairness 360」が利用可能となった。このツールキットは75の公平性指標と13のアルゴリズムを備えており、展開しようとしている広告に含まれているバイアスについて明らかにできる。
誤情報や気候変動、広告業界全体で取り組む
広告主やエージェンシー、テック企業などで構成される「GARM(責任あるメディアに向けた世界同盟)」はこのたび誤情報に関するガイドラインを、2020年に発表したブランドセーフティーのガイドラインに追加したと、カンヌライオンズにて発表した。誤情報の拡散が深刻な影響を及ぼすことは、パンデミックやウクライナ侵攻で浮き彫りになっていた。また、安全だがセンシティブなコンテンツへの広告掲載や、メタバースでのブランドセーフティーについても基準を設けた。
カンヌライオンズでは他に、英国で2020年11月にスタートした「アド・ネットゼロ(Ad Net Zero)」を欧州ならびに米国で展開することも発表された。アド・ネットゼロは広告業界のネットゼロ(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を目指しており、広告持株会社の「ビッグ6」やグーグル、メタなどが参加する。進捗は今年11月のCOP27(国連気候変動枠組み条約締約国会議)にて発表される予定。
子どもを持つ女性の仕事復帰、インターンとツールキットで支援
COVID-19関連の制限が次々と緩和され、保育施設に子どもを預けやすくなったことから、子どもを持つ女性たちが仕事に復帰しやすくなった。そこで米マレンロウは母親たちの就業を支援する10週間の有給インターンシッププログラム「マムターンシップ(Momternships)」を開始する。応募者は広告界での経験は特に求められておらず、期間中はメンターシップやOJT、技術面のトレーニングなどが行われる予定だ。
また、同様の取り組みに興味を持つ企業のため、働く母親たちのオンラインコミュニティー「ヘイ・ママ(HeyMama)」と共に開発したツールキットを、無料で公開している。
(文:田崎亮子)