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TikTokの米国事業、買収に複数社が名乗り上げる
トランプ米大統領は4日、ティックトック(TikTok)の米国事業を禁止する法律の施行を、さらに75日間延期した。同社の米国事業についてはバイデン前政権が、売却しなければ米国での利用を禁止する法案を可決。しかし1月のトランプ大統領就任の直後に75日の猶予が与えられており、その期限が4月5日に迫っていた。
ティックトックの米国事業の買収には、オラクル(Oracle)やアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)など数々の企業が名乗りを上げている。期限が迫る今月2日にはアマゾン(Amazon)も、トランプ政権に買収を提案した。
1回目の延期の頃には、米国のティックトックユーザーが中国の「レッドノート(小紅書)」に続々と乗り換え、同アプリのダウンロード数が急増。言語学習アプリのデュオリンゴ(Duolingo)では、中国語を学習する米国のユーザーが216%増えたという。プラットフォーム側の変化としては、メタ(Meta)が米国でフェイスブックやインスタグラムでのファクトチェック機能を終了し、コミュニティーノート機能を導入した。
AKQA共同設立者のトム・ベデカレ氏が死去
AKQAの共同設立者で、2011年にフォーチュン誌から「シリコンバレーでお気に入りのアドマン」と称されたトム・ベデカレ氏が69歳で亡くなった。
ベデカレ氏は1990年にカーク・シトロン氏、マット・ハリグマン氏と共にシトロン・ハリグマン・ベデカレ(Citron Haligman Bedecarré、以下「CHB」)を設立し、90年代にCEOとしてサンフランシスコで最大の独立系エージェンシーへと成長させた。
2000年にはフランシスコ・パートナーズ(Francisco Partners)とアンダーセン・コンサルティング(アクセンチュアの前身)からの出資を受け、翌年にアジャズ・アーメッド氏が率いるAKQAと合併、同社のCEOを15年務めた。2018年に退いた後は、母校のスタンフォード大学で非常勤講師として起業家育成プログラムに携わった。
WPPがインフォサムを買収、AI主導ソリューションを強化
WPPがインフォサム(InfoSum)を買収し、AIを活用したマーケティングソリューションの提供を目指す。インフォサムはグループエム(GroupM)に加わる。インフォサムのCEOであるローレン・ウェッツェル氏が続投し、グループエムの最高ソリューション責任者にも就任する。
インフォサムのデータネットワークには、チャンネル4(英公共テレビ局)、ITV(英民間放送局)などのメディアプラットフォームや、大手小売業者などのデータ信号が含まれる。同社の機能を、WPPのマーケティング・オペレーティング・システム「WPP Open」と統合することで、WPPのクライアントは高度なAIによって強化された顧客データの潜在能力を、安全かつ最大限に引き出すことができるようになる。
WPPのマーク・リードCEOによると、買収により「クライアントは自社のファーストパーティデータを完全に管理しながら、プライバシーに準拠した高品質で膨大なデータと、現在市場で他に類を見ない先進的なテクノロジーにアクセスできるようになる」という。
グループエムのグローバルCEOであるブライアン・レッサー氏は、同社の北米担当CEOを務めた後、AT&Tなどを経て、インフォサムのチェアマン兼CEOに就任。昨年9月にグループエムに復帰した。
ダブルベリファイ、アドテクに特化したVCに投資
ダブルベリファイ(DoubleVerify)が、ファーストパーティキャピタル(FirstPartyCapital、以下「FPC」)に戦略的投資を行った。FPCはアドテクノロジー、マーケティングテクノロジー、デジタルメディアなどのスタートアップ企業に特化した英国のベンチャーキャピタルで、投資ポートフォリオにはルーメン(Lumen)、エヴォーラ(Evorra)などがある。
今回の投資により、ダブルベリファイは、AIを活用したアーリーステージの企業を支援し、デジタル広告におけるイノベーションの推進を目指す。
ダブルベリファイの最高戦略責任者であるダグ・キャンベル氏によると、FPCへの投資はパフォーマンス、最適化、AI主導型のイノベーションを強化する技術に注力する同社の方針と一致するものだという。「アドテクのエコシステムにおけるイノベーションを促すことは業界全体の利益となり、広告主、パブリッシャー、消費者のすべてにより良い成果をもたらします」。
FPCのマネージングパートナー、リッチ・アシュトン氏は「今回のダブルベリファイからの投資は、当ファンドにとって大きな節目」と語る。「今回の資本注入によってダブルベリファイは当社の最大の投資家の一つとなり、ポートフォリオ企業にとって重要なパートナーになります」。
(文:田崎亮子)