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「買うか潰すか」戦略で競争抑制か メタの独禁法訴訟
米連邦取引委員会(FTC)がメタ(Meta)を、インスタグラムとワッツアップの買収で違法な独占状態を維持していると訴えた裁判が始まった。
メタは2012年にインスタグラムを10億米ドルで、2014年にワッツアップを190億米ドルで買収し、規制当局もこれを承認した。だが同社が「買うか潰すか(buy or bury)」という戦略で競争を抑制したとして、FTCが2020年に独占禁止法違反の疑いで提訴。2021年に訴えは退けられたが、FTCが再び提訴していた。
メタの最高法務責任者であるジェニファー・ニューステッド氏は声明で「ティックトックやユーチューブに費やされる時間の方が、フェイスブックアインスタグラムよりも多い」とし、メタの市場シェアは3割未満であり、FTCの主張は「現実に反している」と述べた。
メタがインスタグラムとワッツアップの売却を命じられた場合、その影響は甚大だ。WARCは、2024年のメタの全世界での広告収入を710億米ドルと推定。イーマーケター(eMarketer)は、インスタグラム単体が2025年に米国で生み出す広告収入は250億米ドルに達すると予想しており、約半分を占めることとなる。
WPPが金曜日に無料ランチを提供、出社を促す
4月から従業員に週4日以上の出社を義務付けたWPPが、オフィス復帰を促すため、英拠点で金曜日に昼食を無料で提供し始めた。同社では少なくとも月2回は、金曜日にオフィスで働く必要がある。
1月にマーク・リードCEOが「一緒に過ごす時間を増やすことは我々全員にとって重要で、その実現のため改革を進めています」と出社の義務付けを発表したところ、これに反対する従業員が署名活動をオンラインで開始、2万人以上が賛同した。
広告大手の第1四半期の業績、続々と発表に
オムニコム(Omnicom)の2025年第1四半期の売上高は、世界全体で37億米ドル(前年同期比+3.4%)だった。地域別では、アジア太平洋が4.17億米ドル(同+6.0%)、米国が20億米ドル(同+4.6%)、北米(米国を除く)が1.05億米ドル(同-3.6%)、英国が3.96億米ドル(同-0.7%)、欧州が5.99億米ドル(同+1.7%)、中南米が9,640万米ドル(同+14.8%)、中東およびアフリカが7,080万米ドル(同-9.3%)。
事業部門別にみると、メディア&広告の収益は前年同期比+7.2%、プレシジョン・マーケティングが同+5.8%、エグゼキューション&サポートが同+1.9%とプラス成長だったが、パブリック・リレーションズが同-4.5%、ヘルスケアが同-3.2%、エクスペリエンシャルが同-1.5%、ブランディング&リテール・コマースが同-10.0%と苦戦した。
ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)は純利益が35.4億ユーロ(同+4.9%)と好調だった。地域別ではアジア太平洋が前年同期比+4.8%、北米が+4.8%、欧州が+2.7%、中南米が+28.3%、中東およびアフリカが+11.5%。アーサー・サドゥーンCEOは声明で「2025年は、多様なセクターや地域、専門領域において重要な案件をいくつも獲得し、新規事業が記録的に好業績となりました」とコメント。通期の業績予想は+4~+5%を見込んでいる。
ハヴァス(Havas)は純利益が6.49億ユーロ(同+5.2%)、オーガニック成長率が+2.1%だった。地域別では北米が同3.2%、欧州が-0.2%、アジア太平洋およびアフリカが+1.9%、中南米が+16.6%。「2025年に向けて好調なスタートを切りました」とヤニック・ボロレCEOは語る。
キャセイパシフィック、名物「香港カーブ」を再現
香港の旧啓徳空港が開港してから、今年1月で100年になる。1998年7月に閉鎖されたこの空港は高層ビル群から近く、「香港カーブ」と呼ばれる高度700フィートで47度の急旋回が必要な、アプローチが非常に難しい空港として知られていた。跡地には啓徳体育園(スタジアム)が建てられた。
そして3月30日にキャセイパシフィック航空が開港100周年を記念して、香港上空を低空飛行した。現香港国際空港を離陸した特別機はビクトリア・ハーバーやスタジアム付近を飛び、名物の「香港カーブ」を彷彿とさせる急旋回も再現。スタジアムでは7人制ラグビーの大会「香港セブンズ」が開催されており、飛行の様子が巨大スクリーンに映し出された。
「キャセイパシフィック航空の旅客機が啓徳空港に離着陸していたことは、誰もが覚えています。その懐かしさをイベントに昇華し、スタジアムで初めて開催されるセブンズのことが世界中で語られる機会を作りました」と、同社のブランド・インサイト・マーケティング・コミュニケーション担当ジェネラルマネージャーのエドワード・ベル氏は語る。
ピュブリシス・グループ香港のチーフ・クリエイティブ・オフィサー、クリストファー・リー氏は「啓徳空港を飛行機が通過するライブパフォーマンスの制作は、大胆な試みのように思えました」と振り返る。「今年の決勝戦を訪れたすべての人々の記憶に、何年にもわたって残るような体験を企画するため尽力しました」。
(文:田崎亮子)