Ryoko Tasaki
2 日前

世界マーケティング短信:レオ・バーネットとピュブリシス・ワールドワイドが統合

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

(左から:カーラ・セラーノ氏、マルコ・ヴェントゥレリ氏、アガト・ブスケ氏、ガレス・グドール氏)
(左から:カーラ・セラーノ氏、マルコ・ヴェントゥレリ氏、アガト・ブスケ氏、ガレス・グドール氏)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

ピュブリシス、主要クリエイティブネットワークを統合

ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)が、傘下のレオ・バーネット(Leo Burnett)とピュブリシス・ワールドワイド(Publicis Worldwide)を統合する。新しいブランド名はレオ(Leo)で、90カ国に15,000人の従業員を擁する。 

ピュブリシス・グループのグローバル最高戦略責任者であるカーラ・セラーノ氏はCampaignに対し「これは効率化のための取り組みではありません」と語った。「人間の創造性とAIの可能性を融合させ、今日の複雑なビジネス環境に取り組むという、クリエイティビティーの飛躍的な成長を見据えています」。 

レオの共同プレジデントには、ピュブリシス・コンセイユ(Publicis Conseil)CEOのマルコ・ヴェントゥレリ氏と、ピュブリシス・ワールドワイドのフランス担当プレジデントであるアガト・ブスケ氏が就く。最高戦略責任者には、ピュブリシス・クリエイティブ(Publicis Creative)のガレス・グドール氏が任命された。 

ローカルレベルでのリーダーシップに変更はない。「リーダーの交代でなく、共にリーダーシップを発揮し、コラボレーションを促進するためのもの」とセラーノ氏は付け加えた。 


スタグウェル、ADK GLOBALを買収 

スタグウェル(Stagwell)が、ADKホールディングスの海外マーケティング事業部門であるADK GLOBALの株式を取得する意向を発表した。同社は2024年にグローバル展開戦略の一環として11件の買収を行っており、アジア太平洋地域での買収はADK GLOBALが初。買収後もADK GLOBALブランドは存続する予定だ。 

スタグウェルのチェアマン兼CEOであるマーク・ペン氏はCampaignのインタビューに応じ、「今回の買収は再編でなく拡大、つまりアジア太平洋地域での当社のケイパビリティーを強化するために、新たなネットワークを追加することにあります」と語った。 

ADKホールディングスの代表取締役社長 グループCEOである大山俊哉氏は声明で、このようにコメントしている。「スタグウェルのグローバルネットワークとデジタルベースのフルサービスを活用し、ADKグループの知見や人材と一体化することで、海外マーケティング事業を展開する日系クライアントを中心としたクライアント企業に対し、より適切なソリューションを提供できるようになります。一方で、アニメやIPなどのコンテンツビジネスにおいては、ADKグループとして『ファングロース戦略』を推進し、新たに体制を強化することで、海外事業のさらなる強化を目指してまいります」。 
 

英競争当局がグーグルの調査を開始

英国の競争・市場庁(CMA)が、昨年成立した「デジタル市場・競争・消費者法(DMCC)」に基づき、グーグル(Google)のインターネット検索や広告が競争環境に与える影響を調査する。 

CMAによると、グーグルは英国のインターネット検索の9割超を担い、独占的な立場にあり、広告主は20万社以上に及ぶ。市場での支配力を利用して自社サービスを優遇していないか、本人の同意なしに消費者データを収集していないかを調べる。新規企業の参入障壁となっていないか、AIの発展を阻害していないかも精査する。広告主やパブリッシャー、ユーザーグループなど、さまざまなステークホルダーからも協力を求め、今年10月までに調査を完了させる予定。 

CMAのCEOであるサラー・カーデル氏は「検索サービスの選択肢やイノベーションを人々が最大限に享受し、データの収集・保存方法などについて公正な扱いを受けられるようにすることが、我々の仕事です」と語った。「そして企業については、ライバルの検索エンジンであれ、広告主であれ、報道機関であれ、規模の大小を問わず全ての企業が成功するための公平な競争環境を確保したいと考えています」。 

WPP従業員、出社義務化に反対し署名活動を開始

WPPが4月から従業員に週4日以上の出社を義務付けたが、これに反対する従業員がオンライン署名サイト「Change.org」で署名を集めている。発信者は「Concerned WPP Employees(憂慮するWPP従業員)」で、宛先はマーク・リードCEOになっている。誰でもオンラインで署名が可能で、開始から24時間以内で650人以上が賛同した。目標は25,000票で、既に15,000票以上が集まっている。 

署名ページには、このように記されている。「世界的に有名な広告会社であるWPPは最近、従業員に少なくとも週4日は出社させる方針を導入しました。これはマーク・リードCEOが発令したもので、WPP傘下の全従業員114,000人に影響を及ぼします」。そして、多くの企業がパンデミック後に柔軟な働き方を認めてきた中で、WPPの決定は従業員のウェルビーイングやワーク・ライフバランスの後退であり、方針を再考してほしいと求めている。 

リード氏は「WPPのエージェンシー全体から得たデータによると、オフィスへの出社率が高いほど従業員のエンゲージメントは向上し、顧客調査のスコアは良くなり、財務実績も向上しています」と述べていたが、署名の発信者は、そのようなデータは透明性に欠けると主張している。 


【お知らせ】 

Campaign Asia-Pacificは、マーケティング・コミュニケーション業界でリーダーシップと革新性を発揮し続けるベテランを称える「50 Over 50(50歳以上の50人)」を創設しました。早期エントリー締切は2月11日、通常エントリー締切は3月3日です。詳しい内容についてはこちら(英語)をご覧ください。 

また、広告界に変革をもたらす女性を選出する「Women Leading Change」アワードのエントリー受付が始まりました。早期エントリー締切は2月5日、通常エントリー締切は2月27日です。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。 

(文:田崎亮子) 

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

スタグウェル、ADK GLOBALを買収

同社は2024年にグローバル展開戦略の一環として11件の買収を行っており、アジア太平洋地域での買収はADK GLOBALが初。買収後もADK GLOBALブランドは存続する予定だ。

3 日前

メタは世界最大の偽情報プラットフォームになる?

トランプ次期大統領の就任を目前に控え、行動指針を激変させるテック企業。今後は不適切なコンテンツの急増が懸念され、広告主には細心の注意が求められる。カナダのメディア専門家が警鐘を鳴らす。

2025年1月14日

博報堂と博報堂DYメディアパートナーズが4月に統合

博報堂DYホールディングス傘下の博報堂と博報堂DYメディアパートナーズが、今年4月に統合する。これは広告業界にとって、どのような意味を持つのだろうか。

2025年1月14日

スパイクスアジア2025 : 味の素「フライパンチャレンジ」の舞台裏

昨年のスパイクスアジアで2つの金賞を獲得した、味の素のキャンペーン「冷凍餃子フライパンチャレンジ」。制作を担った味の素冷凍食品製品戦略部・駒木根理花氏と本田事務所の本田哲也氏に話を聞いた。