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デジタル広告の成長率は上方修正、新聞・雑誌は苦戦
電通グループが、世界56市場から収集したデータに基づく「世界の広告費成長率予測」の最新値を発表した。2024年の市場規模は7,724億米ドル、成長率は+6.8%となる見通しで、5月に発表された予測から1.8ポイント上方修正しており、これは米国、英国、フランス、ブラジルにおける広告費支出の見通しが改善したためだという。デジタル広告の2桁成長、世界的なスポーツイベントや政治イベントの影響も反映されている。
また2025年の市場規模は、世界全体で8,177億米ドル(+5.9%)と予測。全体の約半分を占める米州の成長率は+6.3%、3割を占めるアジア太平洋地域は+5.8%、2割を占めるEMEA(欧州・中東・アフリカ)は+5.0%となる見通しだ。
媒体別にみると、最も成長率が高いのは全体の広告費の6割強を占めるデジタルで、2025年は+9.2%と予測する。OOH(+3.9%)、シネマ(+3.2%)、オーディオ(+1.8%)、テレビ(+0.6%)がこれに続く。新聞・雑誌(-2.5%)は広告費全体に占める割合が5.5%(2024年は6.0%)にまで低下する見込み。総広告費に占めるアルゴリズム主導の広告の割合は、2024年には59.5%、2027年には79.0%に達する見通しだ。
イプソス、カンター・メディア買収を協議中
市場調査大手のイプソス(Ipsos)が、テレビ視聴データを専門とするカンター・メディア(Kantar Media)の買収の可能性について協議中だという。同社が発表したプレスリリースによると、市場での地位強化につながる投資機会を模索するため「カンター・メディアの買収の可能性について現在協議中」とのことだ。ただし、実際に買収提案が行われるかや、条件については「確実なことは言えない」とし、協議が合意につながる保証はないと強調する。カンター・メディアもコメントを控えた。またロイターが先週報じたところによると、シンヴェン(Cinven)など複数のプライベートエクイティも参加するとみられる。
カンター・メディアは62カ国でテレビや印刷媒体、屋外メディアなどの視聴率測定サービスを提供している。特にイプソスにとって、欧州全域において顧客や事業が重なっているカンター・メディアの買収は有益だろう。
リブランディングで物議のジャガー、コンセプトカーを発表
ブランドを大幅に刷新して物議を醸していたジャガー(Jaguar)が、マイアミ・アートウィークで新しいコンセプトカー「TYPE 00(タイプゼロゼロ)」を発表した。
新たなクリエイティブ哲学「活気あふれるモダニズム(Exuberant Modernism)を体現し、電気自動車の常識を覆す独創的なデザインで、アールデコの雰囲気を反映した「マイアミピンク」と、英国の伝統を表現した「ロンドンブルー」の2色がお披露目された。名称にある2つのゼロは「排出ガスゼロ」と、新生ジャガーにとってゼロからのスタートであることを表したもの。量産モデルは2025年後半の発表、2026年の発売開始を予定している。
今回の大胆なブランド刷新について、マーケターの間では意見が分かれている。これだけ話題を集めたことで、最終的にジャガーにとってプラスになるだろうという声がある一方で、従来から大きく変更したアイデンティティーは既存顧客や潜在顧客の共感を得られるのかと懐疑的な見方も多い。
AIによる「おすすめ」が、ブランドや製品の選択に影響
ブランドテック・グループ(Brandtech Group)のジェリーフィッシュ(Jellyfish)が、大規模言語モデル(LLM)でブランドや製品・サービスがどのように認識されているかを分析できるプラットフォーム「シェア・オブ・モデル」を発表した。チャットGPT(オープンAI社)、ジェミニ(グーグル)、ラマ(メタ社)といった生成AIモデルがブランドや製品・サービスを消費者に向けて「おすすめ」として提示しているか、確認できるようになる。
ユーガブ(YouGov)の調査によると、ブランドや製品の推奨をAIに求めていると回答した米国のZ世代(18~24歳)は66%だった。25~34歳は約5割、35~44歳は約4割、45~54歳は約3割と、年代が高くなるとともにその割合は小さくなっていく。AIによる推奨への期待感も、若い層ほど高い。自分に合ったブランドや製品にAIが導いてくれると回答したのは、18~24歳は50%、25~34歳は47%とほぼ半数で、35~44歳では35%だった。
【お知らせ】
スパイクスアジア2025の審査員が発表されました。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
(文:田崎亮子)