1. ブランドの安全性への脅威は、認識されていた
ロンドンで開催されたグーグルのプレス向けイベントで、世界広告主連盟(WFA)のスティーブン・レールケCEOは「イスラム過激派のコンテンツと並行して広告が掲載される危険性を、我々はタイムズ紙が報道する半年前に会員企業に警告していた」と語った。この知らせに大多数の企業は事前の措置を講じず、対応したのはほんの数社だけで、それら企業は被害を免れたという。ほとんどの広告主はこのリスクが主要新聞で報じられるまで「極めて抽象的」と捉え、実際に起きてから「パニックに陥った」。単なる風評であれ、直接ビジネスに関わることであれ、危機を察知し事前に手立てを講じることの重要性、そして人間性の弱点をこのエピソードは改めて教えてくれる。
2. ヴァイス・メディア、新たな戦略でアジアを狙う
若者層をターゲットにした米メディア企業ヴァイス・メディアが、アジア太平洋地域の拠点をシンガポールに開設した。今後は日本を含む東アジアに事業を広げていくのでは、という憶測がもっぱらだ。この本部は来年1月からフル稼働し、ローカルコンテンツやコマーシャルの制作を手がけていく。事業を率いるホシ・サイモン氏は、「世界の若者文化に最も影響力あるコンテンツがアジアからスタートする」とコメントした。
3. 新アプリで業績回復を狙うスナップチャット
スナップチャットの親会社スナップが発表した第3四半期の決算報告で、アナリストが予想した目標利益の達成率は87%だった。インスタグラムが過去半年で1億人の新規ユーザーを獲得したのに対し、スナップチャットの伸びは低迷。同社は改善策として、より視覚的かつ直感的に訴えるアプリを新たに開発している。スナップチャットはティーンエイジャーの主要なプラットフォームと見られているが、最近はそのニーズを捉えるのに苦戦する。昨年発表した動画撮影のできるスマートグラス「スペクタクル」の評判は芳しくなく、報道によれば同社は4千万ドルを損失したという。
4. サムスンを資するアップルiPhone X
保証サービス会社スクエアトレード(SquareTrade)が行ったテストによると、iPhone X はこれまでのiPhoneの中で最も壊れやすいことが判明した。ライバルのサムスンは現在、同製品の信用性に疑問を投げかけ、新品が発売されるたびにアップルの店の前に忠実に並ぶ“アップル・ファンボーイズ(fanboys)”を冷笑するキャンペーンを展開中。このテスト結果は確実にサムスンを利することになろう。競合相手を引き合いに出したり、ましてや馬鹿にしたりすることは概して褒められる手法ではないが……時にそれが楽しめることも、やはり否定できない。
5. 「マリファナ・ブランディング」
マリファナの宅配サービスを行う米オレゴン州のスタートアップ、ブライトサイド(Briteside)がプロザック(抗うつ剤)などの医薬品広告をパロディーにしたオンライン動画の配信を始めた。視聴者がジョークととらぬよう、ナレーションでは同社が実在する会社であることを説明。「大麻があなたにとって適切なものか、医師に尋ねてみましょう。おそらく、そうだろうから」と締めくくる。この業界は今後、リベラルな市場での急速な成長が見込まれる。イスラエルは大麻製品の輸出を目指す国の1つだが、報道によると関係者は農産業で確立させた同国のブランドエクイティ(ブランドの資産的価値)が有利に働くことを期待しているという。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)