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ウクライナ侵攻、広告界の動き
ロシアのウクライナ侵攻を受け、カンヌライオンズを運営するアセンシャル社は、今年6月に開催予定の同賞にロシアからの応募を受け付けないと発表した。一方で、ウクライナからの応募については無料で受け付け、既に支払いが済んでいる場合には返金する。アセンシャル社として人道支援団体に寄付を予定している他、侵攻による影響を受けたクリエイターのディレクトリーを立ち上げ、彼らに仕事を依頼しやすいよう支援していく。
また、広告最大手WPPグループはロシアでの事業を停止すると発表した。この影響を受ける従業員は約1,400名に上る。
ジェンダーの取り組み、日本のエージェンシーは軒並み低評価
国際女性デー(3月8日)に合わせ、Campaign Asia-Pacific編集部ではエージェンシー・レポートカードからジェンダー関連の各社のイニシアチブについて検証した。今回調査を実施した41社中、ほとんどの組織でジェンダーバランスや女性の働きやすさに関する取り組みを行っているが,
その進捗にはかなりの温度差がある。
組織全体の男女比率を公開していたのは21社で、女性の割合が最も高かったのはOMD(73%)、最も低かったのは電通(35.6%)で、21社の平均は50.7%だった。リーダーシップ層については22社が回答し、最も高かったOMDは67%、最も低かった博報堂は10.5%、平均は47.4%という結果だった。
DEI(多様性、公平性、包摂性)の評価が高かったTBWA(A-)やエッセンス(A-)では経営幹部やマネージングディレクターの約半数が女性で、DEIに関するポリシーを明確に掲げてプログラムを用意している。博報堂(D+)とADK(D)は、全41社の中でも特に評価が低かった。
広告大手6社の社員数、パンデミック前を超える
Campaign編集部が実施した調査によると、広告界のビッグ6(WPP、ピュブリシス、オムニコム、インターパブリック、電通、ハバス)で働く従業員は2020年に24,000名減ったものの、2021年には32,000名増えた。最も人数が増えたのは最大手WPPグループで、2021年に9,552名を採用している。
インターネット広告 動画広告やソーシャル広告が大きく伸長
電通が先日、2021年にインターネット広告費がマス4媒体広告費を上回ったことを発表したが、このたびその内訳が明らかになった。
インターネット広告媒体費全体の35.4%を占めるのは、ソーシャルメディア上で展開されるソーシャル広告で、7,640億円(前年比134.3%)だった。ソーシャル広告の中で最も規模が大きいのはSNS系(3,168億円、41.5%)で、動画共有系(2,610億円、34.2%)がこれに続く。
広告種別の構成比が高いのは検索連動型広告(37.0%)とディスプレイ広告(31.8%)で、あわせて約7割を占める。また動画広告は5,128億円(前年比132.8%)で、全体の23.8%となった。
(文:田崎亮子)