広告代理店を大幅削減したP&G、それでも「クリエイティビティーは重要」
消費財・世界最大手P&Gのジョン・モーラーCFO(最高財務責任者)は投資家向け収支報告で、同社が「世界中で取引する広告代理店の数を半数以上減らし、6000社から2500社にした」と語った。更にその数を半減させる予定だという。代理店にかかっていたコストはこれまでに7億5000万ドル(約825億円)削減、新たな支払い条件の導入でキャッシュフローも4億ドル(440億円)改善させたとのこと。更に4億ドルの節減を目指し、新たなメディア・広告代理店モデルを実現するとしている。それでも、「我々はクリエイティブな人材を必要としており、対価を支払う用意がある」と語った同氏。「ただし、必要のない要素への出費は一切しない」。
IAB、「透明性」を国際基準化
デジタル広告の業界団体「インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)」が、デジタル広告における測定基準を国際統一するため「IABテクラボ・メジャーメント・コンプライアンス・プログラム(Tech Lab Measurement Compliance Program)」を導入した。この新たな指標の下、広告プラットフォーム「ビヨンドX」を提供する電通グループのサイバー・コミュニケーションズが、米国以外で監査認定を受けた初の企業に。国際的基準の運用は詐欺行為が蔓延する業界を改善し、安全性を高めていく上でも重要なステップだ。問題はこの基準がどれだけ厳格で、どれだけの効果を発揮するかということだろう。
オグルヴィ・ジャパンのクリエイティブ責任者が異動
オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンで5年間チーフ・クリエイティブ・オフィサーを勤めたアジャブ・サムライ氏がシンガポールに異動し、東南アジア5カ国を統括していくことになった。同氏は先頃、Campaignの主催する「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」で「クリエイティブパーソン・オブ・ザ・イヤー」を受賞。ロンドンのサーチ・アンド・サーチからオグルヴィに入社以来、同社のクリエイティブ向上に大きく貢献したという評価が高い。後任人事についてオグルヴィはまだ発表していないが、早急に決定する模様。
WPP、「男性オンリー」のイベントから撤退
「WPPがスポンサーをしたロンドンのイベントで、セクシャルハラスメント及び痴漢行為があったと思われる」 −− フィナンシャル・タイムズのこの報道で、世界最大手の広告代理店が再び性差別問題に揺れている。騒動の舞台となったのは、ドーチェスター・ホテルで毎年開かれるプレジデンツ・クラブ主催のチャリティー晩餐会。ブラックタイ着用のイベントで、WPPは供される食事のスポンサーだった。ゲストを装って潜入した複数のジャーナリストが、「露出度の高い衣装を着たホステスが130人余り会場におり、その多くが肉体的なハラスメントを受けた」とレポート。WPPのCEOであるマーティン・ソレル卿は「極めて遺憾」と語り、今後同社はこの晩餐会へのスポンサーシップを取りやめるという声明を発表した。
「ピュブリシスが虚偽報告」、という怪文書
「ピュブリシス・グループが2016年と2017年のオーガニック成長率を過大に公表している」 −− 今週火曜日、パリ金融市場が終了しようという頃、突然このような匿名の手紙が監査役や金融監督官の元に届けられた。ピュブリシスはすぐさまこの中傷を否定し、「我が社を動揺させようという馬鹿馬鹿しい試み」と声明を発表。現在は法的措置を検討中という。広告界とはまさに生き馬の目を抜くようなところ(まだご存知ない業界人のために敢えて言うのだが)と、改めて思い知らされる出来事だ。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)