※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
ピュブリシス、買収でコマース能力を強化
ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)が、米マーズ・ユナイテッド・コマース(Mars United Commerce)を買収した。買収額は公表していない。
コマースマーケティングに特化し、購買者に関するインサイトや小売業者との広範な関係で知られるマーズ・ユナイテッド・コマースは、50年前に設立し、現在は英国、ドイツ、米国、カナダ、アジア太平洋などに14の拠点を持つ。同社のグローバルCEOを務めるロブ・リヴェンバーグ氏が、引き続きマーズチームを率いていく。
ピュブリシスは近年エプシロン(Epsilon)やプロフィテロ(Profitero)、シトラスアド(CitrusAd)などを傘下に入れ、コマース領域の機能を拡張してきた。この夏には、インフルエンサーマーケティング大手のインフルエンシャル(Influential)を買収している。
今回のマーズ・ユナイテッド・コマースの買収により、ピュブリシスはマーズの消費者や購買者の行動に関するデータベースを取得。これをエプシロンのIDデータと組み合わせることで、オンラインとオフラインにおいて「コマースのジャーニー全体に影響を与える能力」を顧客に提供していくことを目指す。
スポティファイ、広告収入が21億米ドルに達する見込み
WARCの調査によると、音楽配信サービスを手掛けるスポティファイ(Spotify)の2024年の広告収入が21億米ドル(前年同期比+13%)に達すると予想されている。同社の広告事業は6四半期連続で2桁成長を達成しており、2026年までに26億米ドルに達する見込みだ。
音声配信プラットフォームとして知られるスポティファイだが、特に動画配信が過去18カ月間で+44%と大きく成長したことから、動画コンテンツへの投資に力を入れていく予定。また、動画と音声を組み合わせたキャンペーンが、音声のみのキャンペーンよりも売り上げを66%、購買意欲を27%向上させることから、動画広告も拡大していく。
さらに、AI DJ機能などの成功を受け、ユーザーエンゲージメント強化のためにAIへの投資も継続していく。生成AIツールによってナレーションやスクリプトを作成できる機能を開発中で、これによる広告収入増も見込むという。
S4キャピタル、収益は引き続き減少傾向
S4キャピタル(S4 Capital)が上半期の業績を発表し、純収益は3.76億ポンドで、昨年同期の4.46億ポンドから15.6%減少した。地域別にみると、事業全体の8割弱を占める南北米が-14.9%、欧州・中東・アフリカが-7.9%、アジア太平洋が-8.6%だった。従業員数は8,551人(2023年上半期)から11.7%減少し、7,533人となった。
新規事業は「かなりのレベル」で継続しており、「特に大規模なAI駆動型のハイパーパーソナライゼーションに注力している」とのこと。新規獲得したクライアントにはゼネラルモーターズ(General Motors)、マリオット(Marriott)、バーガーキング(Burger King)などがある。
マーティン・ソレルCEOは収益減について「世界的に厳しいマクロ経済の状況と高金利の影響を引き続き受けたもの」と説明する。「特に一部のテクノロジー系のクライアントのマーケティング予算が、この影響を受けました。また大規模な取引先が縮小し、当社のテクノロジーサービス事業にも影響しています」。
高齢者を再定義するフォトバンクを公開 シンガポール
シンガポールの総合ケア庁(AIC)とザ・シークレット・リトル・エージェンシー(TSLA)が、エイジズム(年齢に関する偏見)を払拭するキャンペーン「シルバーの天井を破ろう(Break the silver ceiling)」の今年1月に続く第2弾を実施した。今回は40名のアクティブで多様な高齢者を、著名な写真家が写真に収めてフォトバンクとして公開している。
TSLAの最高クリエイティブ責任者であるニコラス・イェ氏とマヴィス・ネオ氏は「この取り組みは、60歳を新しい40歳にしようというものではありません。60歳であることに誇りを持とうというものです」とコメント。「画像検索やストックフォトの検索を行うと、歳を重ねることに対する偏った見方が助長され、業界としてもっと改善していかなくてはなりません」。
また「『彼女は年齢の割にきれいだ』といった言葉をなくすべき時が来ています」とも語る。「今日の60歳以上の人々は、年齢だけに左右されることなく充実したアクティブな生活を送っています。高齢者の描かれ方を変えることで、高齢者の見られ方、そして自分たちが高齢者になったときの自分たち自身への見方が変わるのです」。
(文:田崎亮子)