脳からすべての指令が出され、それを受けて身体が動くのだと思われてきたが、実は「臓器同士がメッセージをやりとりしている」らしい――。この驚くべき発見を、NHKは昨年9月から今年3月まで8回シリーズのドキュメンタリーで紹介。また、番組と連携した特別展「人体 ―神秘への挑戦―」が、国立科学博物館で3月より開催されている。
この展示会場に設置されたインスタレーション「人体NETWORK SYMPHONY」では、臓器同士が、複雑に絡み合ったネットワークを介してどのようにメッセージを伝えていくかを、色と光で表現。まるでネットワークの中に入り込んだような体験ができる。インスタレーションの制作は、NHKとdot by dot inc.。
Campaignの視点:
インターネットで文章や写真、映像をいつでも、どこからでも閲覧でき、VRも手軽に体験できるようになった時代に、それでも人々があえて展示会場に足を運ぶのは、圧倒的な没入感を求めてのことだろう。ともすれば説明的になりそうな内容を、五感を使って体感できるインスタレーションだ。
「体の中は、驚くほど美しく、騒がしい」というキャッチコピーを体現した展示は彩りが美しく、まさに「インスタ映え」するものだ。また「疲れた、しんどい」とつぶやく「心臓の声」が渋くて面白いというコメントも見られるなど、SNSで拡散する要素も盛りだくさん。充実した内容のWeb版も用意されており、音声をONにしているとかなり騒がしい。だが、この騒がしさをぜひ会場で立体的に体験してみたいと、期待感をくすぐられる。
(文:田崎亮子)