この2月、新たにCampaign Asia-Pacificと調査会社「カンター」が共同で「2017ジェンダー・ダイバーシティー・スタディー」を実施した。調査対象となったのは、日本を含むアジア太平洋地域の21カ国でメディアや広告、マーケティング関連の企業に勤める630人(男性236人、女性394人)。その結果、「自分は尊重され、信頼されている」と感じる女性は、広告代理店の方がそれ以外の企業より多いことが分かった。
広告代理店で働く人々の80%は、「経営陣が男女を同等に信頼している」と回答。片や広告代理店以外では62%だった。さらに、「経営陣から男女が平等に尊重されている」と回答したのは広告代理店が73%、それ以外では56%。
絶対数としてはまだ少ないものの、一部の地域では広告代理店の女性CEOの数がそれ以外の企業の2倍以上であることも分かった。
この調査では、女性たちが「先入観で評価されている」と感じていることも明らかになった。男性が仕事の経験や過去の成果など「実績に基づいて評価されている」と感じているのに対し、女性は「年齢や性別などで判断されている」と回答。
さらに、女性よりも男性の方が「職場でのチャンスに恵まれている」と感じていることも分かった。女性回答者の43%が「性別の違いでチャンスを逃している」と答え、男性のそれは16%だった。
際立ったのは、業界でますます議論が盛んな男女格差に関する意識。「職場での格差は解消された」と回答した男性は全体で75%と非常に多かったのに対し、女性の51%は「今でも格差がある」と回答した。
今回の調査結果で浮き彫りになった点も含め、多くの課題解決のために最も重要なのは、男女共に「自己啓発の機会」と「働き方の柔軟性」を挙げた。企業側にとっては、より多くの女性管理職を誕生させることも不可欠だろう。
カンターCEOのエリック・サラマ氏は、「成功のための唯一無二の条件は人材の質にある、と私は考えます。それを高めるために重要なのは、多様性と寛容性を実現すること。男女格差を解消するため、私たちはもっと積極的に行動するべきでしょう」と語る。
(文:ファイズ・サマディ 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)