今月開催される、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル。Campaignは複数のオブザーバーに、今年のカンヌで高い評価を受けるであろう日本及びアジア太平洋地域の作品を選んでもらった(自社制作のものは除く)。今回はミスター・ポジティブ(Mr + Positive)の設立者ピーター・グラス氏が選んだ作品をご紹介する。
- 資生堂 「The Party Bus」
私はこの作品の監督と格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ』の広告を制作したので、彼の個性や職人技を頭に思い浮かべながら鑑賞した。流れるような展開力には今も圧倒される。繊細な美しさを湛え、魅力と意外性が満載。抑制されたキスシーン、時代を超えた優雅さ……。一つひとつのシーンが精緻に作られ、目に焼き付けられる。
- アウディ 「心の響くままに」
良い作品をつくることは、特に日本では難しい。コンセプトや制作の過程が見え透いてしまうような広告は辟易する。この作品はコンセプトが明快でよく練られており、ほかとの差別化に成功している。
- スタインラガー東京ドライ 「Slice of Heaven」
ある国の象徴的側面を別の「言語」で表現しようとすると、失敗するケースが多い。だがこの作品の新鮮さや闊達さは、ニュージーランドや豪州の人々を魅了した。アートディレクションのセンスが良く、編集も完璧。