コカ・コーラは、パンデミックの影響で8月には業績が鈍化したものの、第3四半期の決算は予測を上回ったと報告し、通期見通しを再び上方修正した。
10月1日締めの第3四半期の売上高は16%増の100億ドル(約1兆1390億円)だった。純利益は、24億7000万ドル(約2813億円)で、前年同期比42%増を記録した。しかし、第2四半期の26億4000万ドルよりはやや減少した。
これらの数字はアナリストの予測を上回っており、コカ・コーラは売上高のオーガニックグロースの通期見通しを12~14%から13~14%へと上方修正した。
同社の会長兼CEO、ジェームズ・クインシー氏は投資家に向けて、コカ・コーラは「さまざまな制限やロックダウンを経てレジリエンスを高めており」、これまでに実施してきた施策の見直しは、パンデミックから「より力強く浮上する」のに貢献していると述べた。
コロナ禍が始まって以来、コカ・コーラはブランドポートフォリオの合理化、組織構造の再編、マーケティングアプローチの見直し、イノベーションとデジタルケイパビリティの向上に注力してきた。
クインシー氏は10月27日の第3四半期収支報告で、これらの施策の見直しにより、第2四半期に急速な回復を成し遂げ、第3四半期もその勢いが続いたと説明した。
クインシー氏は、「確かに市場では、我々にさらなる進化を求めるような動きがあるだろう。それでも当社は、新しい組織モデルが、危機対応と危機管理の両方において、どれほど効果的であるかについて確かな手ごたえを感じている」と語る。「世界がパンデミックを乗り越えて進み始めるとき、当社も、自身の長期成長モデルに向けて、継続的かつ持続的に事業推進しているだろうと確信している」
最高財務責任者のジョン・マーフィー氏は、収支報告書の中で、パンデミック初期にはマーケティング支出を一旦削減したが、その後は「大幅に強化」し、間もなく2019年と同水準に到達する見込みだと語っている。マーフィー氏は7月、投資家に向けて、マーケティング支出を対前年比「倍増」したと述べた。
新しいマーケティングアプローチが重点を置くのは、支出の質の向上と、よりターゲットを絞り込んだ予算配分だ。
ただし第4四半期には、同社のエージェンシーによるレビュー結果が公表されることになっており、さらなる見直しが図られるだろうとクインシー氏は述べている。
「(レビュー結果を受けて)来年は、マーケティングに対する関与度を高め、エコシステムへの投資を可能とするため、予算の構造的な改革に着手することになるだろう」(クインシー氏)
同社は9月、コカ・コーラの新しいブランドサイトとロゴ「Real Magic(日常は魔法だ)」を公開した。コカ・コーラがブランドイメージを刷新するのは5年ぶりだ。
同社の報告書では、地域によってロックダウンの状況やワクチンの接種率が異なるため、世界の回復傾向は「不均一」だとしている。またデルタ株感染拡大の影響で「8月の実績は鈍化」したという。
売上高が最も増加したのは中南米の41%で、北米とEMEA(欧州、中東、アフリカ)が13%増で続いた。増加が最も鈍かったのはAPAC(アジア太平洋地域)で、わずか3%だった。
販売数量は中南米とEMEAで8%増加したが、北米は4%、APACは3%に留まった。