この調査は世界18カ国・約1万8000人を対象に、今年6月8日から15日にかけて行われた。マッキャンは3月上旬からほぼ2週間ごとに調査を行っており、今回で5回目となる(第3回目の調査結果はこちらから)。
6月上旬は欧米諸国が経済活動の再開に向けて舵を切る一方、新興国や発展途上国では感染が拡大した。日本では緊急事態宣言(4月7日から5月25日まで)が解除された後で、人の移動と経済活動が段階的に緩和された時期に当たる。
それを反映して、「新型コロナウイルスへの不安」は先進国で減少。日本では前回の74%から66%に、フランスでは68%から39%にまで下がった。一方、経済活動の再開が「早過ぎた」という意見も少なくなかった。英国の51%を筆頭に、米国が35%、カナダとドイツが33%。日本も31%だった。
感染拡大防止のために政府が打ち出した安全対策やルールに関しては、「注意深くすべてのルールに従う」と答えた人は英国(66%)とドイツ(60%)で6割以上。「おおむね従う」という人も加えると、英国が85%、ドイツとカナダが80%だった。日本では「すべて従う」が36%、「おおむね従う」が33%で、両方合わせても7割に満たなかった。
逆に「ルールをほとんど無視する」「自分のルールに従う」と答えた人は、トルコが最も高く32%、次いで中国が31%、ロシアが29%。先進国では日本とフランスが20%、米国が19%だった。
パンデミック(世界的流行)で「失ったもの」に関する問いでは、「個人の自由」「仕事」「教育や自己研鑽の機会」「休暇」「趣味」といった事柄が各国で上位を占めた。
またパンデミックの社会的影響に関しては、「不平等が顕在化した」と答えた人は新興国及び発展途上国、先進国で共に約4割。新興国・発展途上国ではチリが54%、コロンビアが42%、南アフリカとブラジルが39%。先進国ではフランスが42%、日本とカナダが40%、米国が37%、英国が36%だった。
さらに「感染よりも社会格差の方が脅威」と答えた人はチリが40%で、スペイン、米国、ドイツ、コロンビア、メキシコも3割を超えた。日本は27%だった。
こうした結果を踏まえ、マッキャンエリクソンの松浦良高プランニング本部長は以下のようにコメントする。「先進国を中心に新型コロナへの不安感が和らいできた一方、経済や社会格差への不安は日本でも高い。加速化する社会的課題の解決には政府だけでなく、企業に対しても生活者(消費者)は期待しています。今後、企業の取り組みは社会的にも注目されるでしょう」。
(文:水野龍哉)