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急成長中のeスポーツ市場
WARCの調査によると、対戦型のゲーム競技「eスポーツ」へのブランドの投資は今年8.44億米ドル(前年比109.9%)に上るという予想だ。内訳は、スポンサーシップが6.15億米ドル、eスポーツ番組へのスポット広告が2.29億米ドル。eスポーツの視聴はアジア(30%)が最も盛んで、中南米(20%)欧州・中東・アフリカ(14%)、北米(13%)と続く。eスポーツをここ1カ月間で視聴した人は全世界で9億人超、男性は5.54億人(27%)、女性は3.49億人(17%)であった。
Z世代ゲーマーはeスポーツ関連のコンテンツを1週間に平均6時間19分視聴しているとのことだ。ツイッチ(Twitch)を視聴するZ世代は1日あたり190万人に上り、視聴のピークは19時以降。WARCデータのジェームス・マクドナルド氏は「ストリーミングは多くのZ世代にとっての新しいゴールデンタイム」と語り、「短期的に、eスポーツ関連で多くの企業合併・買収が行われるのではないか」と予測している。
広告費全体の半分以上を、ネット広告費が占める見通し
インターネット広告費が2020年中に広告費全体の5割を超える見通しだと、ゼニスは最新の広告支出予測で明らかにした。当初は2021年までに50%を超えると予測されていたが、今年のネット広告のシェアが49.5%から51%へと上方修正された。「新型コロナウイルスによって、ブランドはネット広告を予想以上に速いスピードで取り入れ、デジタルトランスフォーメーションが急務となりました」と、調査を担当したジョナサン・バーナード氏は語る。
今年の広告費は全世界で9.1%縮小する見込みで、これはリーマンショック後の2009年(9.5%縮小)にも迫る。アジア太平洋地域では8%減、大統領選を控える北米では7%減だが、西欧は15%減。OOH(2020年は25%減→2021年は16%増)と劇場広告(同51%減→65%増)は苦戦を強いられるものの来年は回復する見込みだが、新聞(21%減)と雑誌(20%減)は来年もさらに縮小するとみられている(ただしネット広告の収益は含まれていない)。
中国製アプリの使用禁止を検討か
自民党の議員連盟は、ティックトックなど中国企業が提供するアプリの利用制限を検討していることが報じられた。6月末にはインドで国家の安全保障を理由に、中国製の59のアプリが使用禁止となった他、米国も利用禁止を検討している。
肌着にもモデルにもリアルな多様性を
エイボンはフィリピンで、体形や肌の色が異なる3名の女性を起用した「#NudeNormal」キャンペーンを17日より展開している。サイズやフィット感、色を幅広くそろえたラインナップで、透けにくく快適な肌着を選ぶことができると訴求する。制作はマレンロウMARC。3名はプロのモデルではなく、インスタグラムアカウントには撮影について、次のようなコメントを書いている。
「この撮影のために“それらしく見えるよう”断食や運動をしたり、あるいはデジタルで補正されることもありませんでした。“良いアングル”を求められてことも一度もなく、ただ踊ったり、ポーズをとったり、回ったりして最高の時間を過ごせました」(@aynbernos)
「このキャンペーンに参加できて嬉しいです。全ての女性にとって、上質で透けにくい肌着は必須です! 内面が快適で気分が良いと、外面にも自信と魅力が表れます!」(@saytioco)
「看護師として自らの命をリスクにさらしながらパンデミックと闘い、自分のメンタルヘルスにも注意を払ってきました。この広告によって自分自身を審査することをやめ、自分の体や肌をもっと愛するようになりました」(@morenachiq)
【お知らせ】
●4回目となったCampaign Asia-Pacificとカンターによるダイバーシティ調査が、今年も始まりました。皆さまの職場での待遇やこれまでの体験、どのような改善策が考えられるかなどをご回答いただく調査です。昨年の調査からは、セクシャルハラスメントは2017年よりも改善した一方で、人種や年齢への偏見については議論が必要なことなどが浮き彫りになりました。回答はこちら(英語)から、9月1日までとなります。皆さまのご協力をぜひお願いいたします。
●来週は「世界マーケティング短信」の配信をお休みさせていただきます。
(文:田崎亮子)