この調査は3月上旬と下旬に続くもので、世界15か国・約1万5000人(各国約1000人)を対象に4月7〜10日にかけて行われた。日本では、政府が首都圏など7都府県に緊急事態宣言を発出した直後に当たる。調査実施国は日本をはじめ、英国、米国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、カナダ、中国、インド、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリ、コロンビア。
欧米諸国では3月中旬から厳格な外出制限が続いており、今回の調査では世界の56%(調査対象国平均)の人々が「経済の停滞を懸念する」と回答。第1回調査(48%)から8ポイント上昇した。個別に見ると米国(56%→66%)、英国(42%→64%)、ドイツ、フランス(共に52%→62%)、日本(54%→62%)などで高い数値を示した。
「失業や収入減による生活への影響を心配している」と答えた人は世界で31%。同じく第1回(21%)より10ポイント上昇し、日本では35%から58%へと急増した。
フェイクニュースや誤った情報に対する危惧も明らかになった。世界で3割の人が「信頼できる情報が分からない」と回答。2割は「気分を害するのでニュースを追うのをやめた」。日本では「どのようなガイドラインに従うべきか分からない」と答えた人が3割に上った。
また、「科学者の活躍は頼もしい」と答えた人が世界で3割以上(36%)だったのに対し、「自国政府に失望した」と答えた人は4分の1。日本(45%)、スペイン(42%)、米国(35%)などでは平均値よりも高い数字を示した。逆にドイツは9%で、政府が「パンデミックに対する準備ができている」と回答した人は39%に上った。
「パンデミックを理解するための最も信頼できる情報源」として世界でトップに挙げられたのは、依然「主要なニュースメディア」。ただし国によって差異があり、日本では65%がニュースメディアを挙げたのに対し、ドイツでは45%が「政府」、中国では3分の1が「ブランド」と答えた。
「現在の危機の最中に企業やブランドは何ができるか」という問いには、世界の59%が「従業員をケアすること」と回答。以下、「人工呼吸器やマスク、PPE(個人用防護服)の生産」(50%)、「製品価格の値下げ」(42%)、「人々が真実を知るための手助け」(38%)、「経済対策や感染防止対策での政府との連携」(37%)、「人々を元気づけ、幸福感を広げること」(29%)と続いた。
日本で最も多かった答えは「真実を知るための手助け」(58%)。雇用維持や感染防止の支援を求める声がそれに続いた。
さらに、世界で4割の人が「この危機が新しいイノベーションのきっかけになる」と回答。2割は「パンデミックの対応で示された創造性に感銘した」と答えた。
こうした結果を踏まえ、マッキャン・ワールドグループのハリス・ダイアモンド会長兼CEOは以下のコメントを発表。「過去2回の調査では、このようにストレスの多い時代でも、ブランドには真のインパクトを生み出す大きなチャンスがあることが分かりました。最新データは、人々が真実や信頼、快適さを切に必要としている際に、ブランドがより中心的役割を果たせることを示している。消費者の考え方や懸念は絶えず変化するので、意義ある重要な役割を継続的に果たすため、ブランドはそれらを的確に捉えていかねばなりません」。
また、松浦良高プランニング本部長(日本)は「日本では政府への失望感が他国と比べて非常に高い。官民の協力を含め、ブランドへの期待が高いのが特徴」とコメントしている。
(文:水野龍哉)