スレッズのローンチから約1ヶ月以上が経過した今、当初の興奮は冷め、もはや、この新しいプラットフォームにブランドが殺到することもなさそうだ。
X(旧名ツイッター)に似た、メタの新プラットフォームは、デイリーアクティブユーザー数(DAU)を減少させ続けており、マーク・ザッカーバーグCEOが、必死にアップデートを展開しているにも関わらず、ユーザーの流出を抑えることができていない。
シミラーウエブ(Similarweb)によれば、米国のスレッズユーザーは、8月7日時点で、アンドロイド版のDAUが57.6万人であり、230万人の最高DAUを記録した7月7日から79%も減少しているという。
ジャイアント・スプーンのソーシャル戦略グループディレクターであるホリー・ステア―氏は、「ユーザーベースが減少している場合、それは単に人数が減っただけでなく、コミュニティにおける情熱やエンゲージメントの焦点が、他のプラットフォームに移ったという明らかな兆候だ」と主張する。
当初は、いくつかのクライアントが、Xやインスタグラムとの相乗効果を期待してスレッズに興味を示したが、多くのクライアントは、スレッズへの配信をブリーフに含めることはなく、リストアップもしていなかった。むしろ、スレッズのDAUが減少したことで、ティックトックなどの動画プラットフォームに注力し続ける決意がいっそう固まったようだ、とステア―氏は言い添えた。
スレッズに参加している大手ブランドの1つで、8月20日現在27.9万人のフォロワーを持つウェンディーズは、他のプラットフォームでは細かくチェックしないようなフォロワー数などの指標にも注意を払っていると、7月中旬、Campaign USに語っていた。ウェンディーズは、7月20日時点で、すでに26.8万人のスレッズフォロワーを持っていたので、4週間経ってもわずか1万人しか増加していないということになる。
また、ウェンディーズは現在、これまでほど頻繁にはスレッズに投稿しておらず、直近2件の投稿も2週間以上前のものだった。
このような低調な活動では、エンゲージメントを低下させ、その結果、不活性な状況をさらに助長してしまう。
WebsitePlanetは、スレッズとXの両方のプラットフォームに、同一または異なる投稿を行った30社のブランドを調査し、8月8日にそのデータを公開した。マクドナルド、ネットフリックス、オレオなど、該当するブランドの投稿を調べた結果、30ブランド全体で、7月に比べ8月には「いいね」の数が約3万件減っており、リプライ数が1.6万件少ないことが分かった。
また、スレッズとXの両方で、同一の投稿を行っていた24ブランドを特定したところ、スレッズで7月より8月の方が多くの「いいね」を獲得したのは7ブランドだけだった。これらのブランドを総合的見ると、7月には、スレッズで4.1万件、Xで2.6万件の「いいね」を獲得していたが、8月には逆転して、スレッズで1.3万件、Xで4.5万件の「いいね」獲得だった。
しかしながら、ブランドとそのエージェンシーは、依然としてスレッズを、ブランドが素早くトレンドに乗るための、より安全なXの代替手段と見なしている。ステア―氏も、適切な機能さえ導入されれば、スレッズのユーザーベースは増加に転じると楽観視している。
メタは、引き続きスレッズのアップデートを展開し続けている。先週、ザッカーバーグ氏は、インスタグラムのダイレクトメッセージでスレッズの投稿を直接共有したり、スレッズの投稿でアカウントをメンションしたり、投稿する写真や動画に代替テキストを設定したりできるようになると、投稿した。
一方、ステア―氏は、スレッズとインスタグラム間でのコンテンツ共有は「非常に強力」だと評したものの、ブランドや消費者が望む主要な機能はまだまだあると主張している。例えば、ハッシュタグや「フェディバース」(分散型ネットワーク機能)の実装などは、すでに数週間前から要望されている機能だと述べた。
「ハッシュタグは、公式コンテンツであれ、コミュニティ内の話題であれ、キャンペーン内の異なる要素を結びつける万能のユーティリティアイテムだ」と、マニフェストのデジタル戦略ディレクターであるリー・ベネケ氏は述べた。「キャンペーンをハッシュタグで検索すれば、全てを一か所で見ることができる。スレッズだけの世界になったら、(全てを見るには)そのブランドをフォローするしかない」
ハッシュタグの不在は、ブランドだけでなく消費者にとっても同じくらい、いらだたしいことだ、と彼は付け加えた。
「世界で何かが起こっていると気付いたら、すぐにツイッターにアクセスし、ハッシュタグをクリックして反応やコメントを見る — これこそが、ユーザーがいつまでもツイッターを使い続ける理由なのだ」と彼は語った。
また、ブランドは、スレッズがActivityPubという分散型ソーシャルネットワーキングプロトコルを実装し、マストドンなど他の分散型プラットフォームとサーバー接続できるようになることを待ち望んでいる。
「コミュニティがスレッズに移行することで、プラットフォームの成長にとって、何かすごいメリットがあるのかどうかは疑問だ」と、専門エージェンシー、ウィーアーソーシャルの最高戦略責任者であるハーヴィー・コセル氏は述べた。
しかし、マストドンがサーバーをトピックごとに分散しているように、他のサーバーとの接続は、広告主がターゲットユーザーを興味やコミュニティに応じてグループ化するための、次のステップになる。
ブランドは、スレッズの広告モデルがどのようなものになるのか、固唾を飲んで待っている。
「我々は、スレッズの未来がどうなるか把握するために全力を注いでいる。これからスレッズアプリの可能性はどんどん広がっていくからだ」と、ジャイアント・スプーンのステア―氏は述べた。