![トランプ氏の「貿易戦争」 アジア広告業界への影響は](https://cdn.i.haymarketmedia.asia/?n=campaign-japan%2fcontent%2fUSCHINA.jpg&h=570&w=855&q=100&v=20170226&c=1)
* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
ドナルド・トランプ氏は、中国の露骨な不公正貿易慣行に敵意を隠したことがない。世界は彼が課す関税の脅威と、世界経済への影響を懸念する。
広告費は経済的環境と密接に関係するため、経済へのダメージは当然ながら広告費に影響が及ぶ。しかし、この懸念が行き過ぎであるとしたらどうだろう。そして、もしそうであるなら、広告費にはどのような影響が出るのだろうか。
トランプ氏は確かに、保護主義的発言や「他国が米国から搾取している」という批判を長年繰り返してきた(数十年前から彼が標的にしていた日本が再び今、標的になっていることは興味深い)。しかし注目すべきは、トランプ氏が知的な意味での保護主義者ではなく、取引の上での保護主義者である点だ。
つまり彼は関税を目的としているのではなく、目的を達成するための手段として捉えている。一部の懸念が行き過ぎの理由は、この点にある。
トランプ氏は、ニクソン元大統領が用いた「狂気は悪を倒す」という考え方を実践している。つまり自分を予測不能な人物に見せかけ、望むものを手に入れられるよう、過激な行動を取れるようにしているのだ。
彼はすでに就任前から、突飛な発言で影響力を及ぼす傾向がみられた。グリーンランドの首相は、米国とグリーンランドの関係強化は可能だと訴えた(グリーンランドはデンマークからの独立を求めている)。中東では、ガザ地区に「地獄が訪れる」という脅しが功を奏したかのごとく、停戦が成立した。関税についても同様のことが言えるだろう。彼の言葉はあまりにも極端なため、企業や国家はなんらかの形で妥協を迫られてしまう。
それにしても、トランプ氏が本当に望んでいるものは何なのか。そして、それを手に入れることはできるのか。彼にとって明白な勝利とは、産業と雇用が米国で復活することだ。すでにその兆候はいくつかみられる(この数年間の動きが加速しているとも言える)。
しかしながら、トランプ氏や共和党の政治家にとって特に重要なのは、地域社会に壊滅的な影響を与えている薬物、特にフェンタニルの問題だ。彼が関税で中国とカナダ、メキシコに厳しい姿勢を示したのは偶然ではない。これらの国は貿易上、重要な役割を果たしており(フェンタニルの原料は中国で生産され、メキシコに運ばれて麻薬カルテルが精製する。米国・カナダ間の長い国境は米国への容易なアクセスだ)、 トランプ氏はこの問題の解決に熱心だ。
もし解決できれば、過激な関税の脅しは撤回するだろう(2月3日、トランプ氏はメキシコとカナダに課すとしていた25%の関税の発動を1カ月延期した)。高関税は米国内のインフレと物価上昇のリスクを高めることを彼は認識している。
中国の姿勢はどうだろう。中国経済の成長は鈍化し、不動産部門の危機(中国消費者の資産は不動産に大きく偏っている)や消費支出の低迷、効果の上がらない景気刺激策など、複数の問題に直面している。中国が米国との貿易戦争を望んでいるとは思えない。中国当局はイーロン・マスク氏に接触し、TikTok(ティックトック)に関する取引の仲介を打診したという。政府が公に攻撃的な発言をしても、米国とは対立ではなく、融和的姿勢を望んでいると思われる。
では、アジア太平洋地域の広告業界にはどのような影響が出るだろうか。ポジティブな影響を考えてみたい。「関税戦争」の脅威が現実にならなければ、世界経済は引き続き良好な状態を維持し、広告にも好影響をもたらすだろう。
しかし、1つだけ問題がある。中国だ。理由は2つ。1つめは、中国の広告市場。消費者需要が回復しなければ、広告市場は低迷したままになる(中国は世界第2位の広告市場なので、世界的な成長に影響を及ぼすだろう)。2つめは微妙だが、重要な問題になる可能性がある。つまり中国における需要の低迷が、欧米の高級品ブランドや自動車メーカーなどの企業収益に著しい影響を与えることだ。
この2つめの要因で、一部企業は中国から広告費を引き上げ、より有望と思われる北米や西欧市場に振り向ける可能性がある。そして企業収益への影響が甚大なら、広告主は広告費を徹底的に削減することもあるだろう。今後注目すべきは、まさにこの点ではなかろうか。
イアン・ウィテカー氏は英コンサルティング会社リバティー・スカイ・アドバイザーズの創業者で、マネージングディレクター。財務の観点から見た広告業界に関する記事を、Campaign誌に定期的に寄稿する。