マイクロソフトがコミュニケーション分野で2つの注目すべき改革を行った。1つはAI(人工知能)対応、もう1つはグローバルコミュニケーション戦略のアプローチだ。
7月中旬、同社はコミュニケーション部門のサポートに特化した独立チームを設立。「AI時代に守るべき規律を再検討するため」(チーフコミュニケーションオフィサー、フランク・ショー氏)という。
コミュニケーション戦略担当VP(バイスプレジデント)のスティーブ・クレイトン氏が牽引するこのチームは10名のスタッフから成り、ショー氏の直属となる。クレイトン氏は以前、パブリックアフェアーズ担当VPを務めていた。
同チームは最先端のAIツールを活用、「コミュニケーション機能にAIテクノロジーを幅広く導入していく」(ショー氏)。
クレイトン氏は、「弊社のAIテクノロジーを広範に駆使し、効果測定や社内外向けレポート、メディアとの関係構築などでクリエイティビティーと生産性、効率性を高めていく」とコメント。
同氏はマイクロソフトのAI戦略も牽引し、AI事業に関するスポークスパーソンも兼務する。世界各地のコミュニケーション部門はAIに関するガイダンスとサポートを必要としており、インサイトの共有も責務だ。
「新たなテクノロジーは各業界に大きな変革をもたらした。弊社のコミュニケーション機能を強化することで、これら新しいツールの最大活用を促していきたい」(ショー氏)
巨大テック企業が様々なAI戦略を打ち出していた今春、ショー氏はマイクロソフトのコミュニケーションガイダンスを発表している。
同社はグローバルアプローチも刷新する。グローバルコミュニケーション担当ゼネラルマネージャーにダグ・ドーソン氏を起用、同じくショー氏の直属となる。
ドーソン氏は以前も同職にあったが、「これまでのアプローチは各地域の自主性が重んじられてきた。今後はより中央集権型になる」とショー氏。ドーソン氏はマイクロソフトの業績・動向に関し、各市場での説明責任も果たしていく。
これまでマイクロソフトは各市場ごとのアプローチを重んじ、ローカルマネージャーのポストを置いていた。このビジネスモデルは各国の売上増やニーズへの対応に効果を発揮した。
今回の人事で、グローバルコミュニケーション担当シニアディレクターの3名が各地域のコミュニケーション責任者となる。ベンジャミン・ランプ氏はEMEA(欧州・中東・アフリカ)、ローレン・マイヤーズ・カヴァナー氏はアジア、リサ・ポリーニ氏は北中南米を統括する。
「グローバルコミュニケーションを単一のチームで管轄することで、ブランドとしてより高いレベルのニーズに応えられ、事業性も高まる。世界戦略の『世界』という言葉を、『世界レベル』という意味で使えるようになるのです」(ドーソン氏)
(文:ダイアナ・ブラッドリー 翻訳・編集:水野龍哉)